【76年ぶり記録更新】辰己涼介が相手をグサリ!?刺殺397回/物語のあるデータ

実に76年ぶりとなる記録更新でした。

楽天の辰己涼介外野手(27)がマークした刺殺がそれです。これまでの外野手のシーズン記録は、巨人青田昇(1948年)の391。辰己外野手は397まで積み上げました。

刺殺とはぶっそうなネーミングですが、英語の「PUT OUT」を訳したもの。守備側の選手がインフライトの打球を捕球した場合などに記録されます。

外野手では守備範囲の広さを表す指標ともなる数字。この刺殺の記録を拾ってみました。

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■「思い残すことなく野球を辞められます」!?

松本剛の打球は中前へとふらり舞い上がった。辰己はゆっくりと前進し、いとも簡単にシングルキャッチした。

10月8日の日本ハム戦、5回1死無走者の場面だった。

この試合3つ目の中飛が今季通算392刺殺となって青田の記録を上回った。

辰己は「まさか抜けるとは思ってませんでした。とてつもない高い壁でした。思い残すことなく野球を辞められます。ありがとうございました」。

新記録の達成を、ユーモアを交えながら振り返った。

翌9日の最終試合(対西武)でも5刺殺を加え、通算397としてシーズンを終えた。

プロ6年目にして初めて全143試合に出場した。途中出場は1試合だけで、142試合が先発出場だった。

打率2割9分4厘はリーグ2位、158安打を放ち、最多安打のタイトルも受賞した。攻守にキャリアハイの結果を残した。

守備側が1つアウトを奪うと、1つの刺殺が記録される。

飛球、ライナーなどを直接捕球すれば1。ゴロの場合、捕った野手が一塁に送球すれば、一塁手に刺殺が、捕球した野手に補殺(ASSIST)がつく。タッチしてのアウトも刺殺1。

■最多158安打 攻守にキャリアハイ

「それでは三振は?」という問いには、捕手の刺殺になると答えよう。投手に補殺はつかない。

外野手の刺殺はほとんどが飛球のため、数の多さがそのまま守備範囲を表すといわれる。

辰己の397を1試合ごとにチェックすると、最多が7で2試合、6が9試合、5が14試合、4が21試合、3が29試合、2が28試合、1が32試合だった。刺殺0は8試合。

1試合平均にすると2・78で、少ない気もするが、ポジションが9つあればこんなものかもしれない。

■外野手1試合最多はヤクルト若松勉11

外野手の1試合最多刺殺を探すと、ヤクルト若松勉に11があった。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。