【宮本慎也プレミア12備忘録・前編】余計な注文…逆ギレ台湾に有利な流れ/〈43〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。今回は、プレミア12で準優勝だった侍ジャパンを上下の2回で。まずは、台湾に敗れた決勝をじっくり検証します。

プロ野球

■今回の主なトークテーマ

〈1〉台湾は試合当日に予告先発を変更。宮本さんも北京五輪で似たような経験を

〈2〉日本側の対応が台湾の闘志に火を付けた可能性あり。抗議の後の注文に着目

〈3〉日本は5回にホームラン2発で敗退。勝負を分けた配球を解説します

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

■「北京五輪でも似たようなことがあったんだよ」

小島侍ジャパン、まさかの決勝敗退でしたね。

宮本いきなり暗い話題から入るなぁ。でも、勝てると思っている大会だと、そう思っちゃう(苦笑い)。野球ってペナントの勝率を見ると最下位のチームも3割ぐらいの勝率がある。10回やれば3度ぐらい勝つってこと。台湾とは予選とスーパーラウンドで2勝してる。3回目で負けるっていうのは十分に考えられる。

それに勝って当たり前みたいに思われて戦うのって、本当にやりづらい。決勝戦までの流れを見てて「この試合は危ないかも」っていう雰囲気があった。

小島その辺は日刊スポーツの評論でもやりましたよね。決勝戦前の試合で、台湾が予告先発を変更して一騒動。台湾が罰金払って日本側は変更を認めたけど、その試合は変更したエースの林昱珉と同じ左投手を先発させろってクレームをつけました。

それで台湾は連投になる左腕が先発して初回に4失点。なにか〝弱い者いじめ〟みたいに感じてしまいました。

それで決勝戦は台湾が奮起したって流れですよね。

宮本簡単に説明するとそうなる。けど、もっといろいろなことがある。日刊スポーツでの評論だと書き切れないことがあったから、ここでじっくり検証しようか?

小島お願いします!

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。