田村芽実 アンジュルム時代の「つらかった」経験も財産にミュージカルで輝く

演劇

今年だけで舞台出演5作目。ミュージカル界注目の若手、田村芽実(23)が、トニー賞8部門受賞のミュージカル「ヘアスプレー」(17日から、東京建物Brillia HALL)で渡辺直美(34)演じる主人公のライバル役を演じる。ストイックすぎる個性でアイドルグループ「アンジュルム」時代は苦しい思いもしたが、「ようやく恥をかけるようになった」ことで、自分らしい輝き方が分かってきたという。

◆田村芽実(たむら・めいみ) 1998(平10)年10月30日、群馬県生まれ。11年、スマイレージ(後にアンジュルムに改名)に加入しデビュー。16年5月に卒業。17年、舞台「minako-太陽になった歌姫-」で主演の本田美奈子.さん役に抜てきされ、演劇界のニューフェースに。今年7月には音楽劇「クラウディア」でクラウディア役を演じて話題になった。音楽活動のほか、読売新聞夕刊でコラム「ひめごと」を連載(毎月第1水曜)するなど文才も発揮している。愛称は「めいめい」。

20年に予定されていた初演は、新型コロナ感染拡大で中止という悔しい思いをした。2年ぶりの復活公演が実現し、喜びもひとしおだ。「前回は稽古が始まる前に中止が決まってしまった。“再演”が決まった時は『ついに来たか』とうれしかったです」と声を弾ませる。「この2年間の成長も感じているので、パワーアップした表現をお届けしたいです」。

作品は、60年代の米ボルティモアを舞台に、ちょっぴりビッグサイズな女の子、トレイシー(渡辺直美)が人気ダンス番組出演を通じて成長していく姿を描く。60年代の人種差別問題などのテーマも盛り込まれ、02年にブロードウェーで上演されると、主演女優賞、ミュージカル作品賞などトニー賞8部門を受賞。田村は、トレイシーのライバルとなる女子高生、アンバーを演じる。

どんなキャラクターか尋ねると「すっごい、いじわるな女の子」と目を丸くする。「こんなこと、普通の人は言わないだろうという。トレイシーのことを『巨体』とか『山』とか言うんですよ?」。

キツめの悪役だが、どこか憎めない魅力に演じがいがあるという。「権力を持った親の元で自分中心に世界が回っているように育った背景がよく分かる。精神的な幼さや、ゲタはかせてもらってる感がかわいいなと思えるんです」。自身と重なる部分があるかを聞くと「私は心の中ですごく燃えていても絶対外には出さないので、闘争心むき出しのアンバーとは真逆かも」とカラッと笑った。