市川由紀乃 亡き兄の手紙、師の言葉を胸に「奇麗な心」で歌う/ロングインタビュー
30周年を迎えて歌に艶やかさを増し、表現力に一層の磨きを掛けているのが、演歌歌手市川由紀乃(46)だ。高校在学中の17歳でデビュー。燃え尽き症候群となり芸能界を一時離れたが、その経験を糧にして飛躍を遂げている。NHK紅白歌合戦に2回出場し、日本レコード大賞の最優秀歌唱賞も獲得。歌謡界をけん引するトップアーティストとしてまい進している。
音楽
◆市川由紀乃(いちかわ・ゆきの) 1976年(昭51)1月8日、さいたま市出身。高校在学中の93年に「おんなの祭り」でデビュー。16年に「心かさねて」でNHK紅白歌合戦初出場。翌年も「人生一路」で2年連続出場。20年の日本作詩大賞は「なごり歌」で大賞を受賞。マイブームは吉本新喜劇、落語。尊敬する人は巨人の長嶋茂雄終身名誉監督。170・5センチ。血液型A。
マイ三味線奮発購入
記者の目を正面からしっかりと見詰め、穏やかに話し始めた。
「30周年の今年はお客さまの前で歌わせていただく機会が増えました。1月には初のバースデーイベントを開催し、9月にはコンサート『ソノサキノユキノ』を行い、遅ればせながらインスタグラムも7月に始めました。節目の年で多くのことにチャレンジをさせてもらえた1年でした」
充実感にあふれた表情で声を弾ませた。
これ以外にも、2月には大阪・新歌舞伎座で座長公演を成功させ、「寝る前に必ず動画を見ている」という大好きな吉本新喜劇との初共演で笑いのセンスを開花。6月からは小学生時代から37年の付き合いの水森かおり(49)とジョイントコンサートも始めた。さらに伍代夏子(61)の誘いで始めた三味線は奮発をして“マイ三味線”を購入。「40周年までにはしっかりと自分のものにしたい」と芸の幅を広げている。
実り多き1年をすごし、笑顔を絶やさない市川だが、ここまでの道のりは決して平たんではなかった。
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