月亭八方 コンプライアンス無視できない現代こそ笑える 91歳大村崑との楽屋ばなし
月亭八方(74)といえば熱心な阪神タイガースファンとしても知られ、関西では知名度抜群の人気落語家。冗談のような、シャレのような、軽妙なトークは、ABCテレビのバラエティー「楽屋ニュース」として大人気となった。その八方が「コンちゃん」こと大村崑(91)をゲストに迎え「八方の楽屋ばなし」(30日、大阪・天満天神繁昌亭)で知られざる秘話を聞き出す。喜劇界の大ベテランから、どんなエピソードが飛び出すか。
お笑い
◆月亭八方(つきてい・はっぽう) 本名・寺脇清三。1948年(昭23)2月23日、大阪市生まれ。少年時代の夢はプロ野球選手で、名門浪商に進学するもハードな練習で脱落。卒業後、月亭可朝(当時は2代目桂小米朝)に入門し、落語家の道へ。MBSテレビ「ヤングおー!おー!」で落語家ユニット「ザ・パンダ」の一員として人気者になる。舞台、テレビ、ラジオと幅広く活動し、芸人仲間のマル秘情報を語る「楽屋ニュース」は86年から98年までABCテレビで放送され、人気を集めた。91年、上方お笑い大賞。趣味は野球観戦、ゴルフなど。熱烈な阪神ファンとして知られる。身長167センチ。
19歳で弟子入り
半世紀ほど以前にさかのぼる。劇場での出番を終えたり、この後に出番を控えている落語家、漫才師が集まる楽屋には、今では想像できない空気が充満していた。たばこの煙の中、芸人たちはマージャンやこいこいに興じながら、わいわいがやがやと「よもやま話」を交わしていた。
八方 楽屋にはいろんな人がいました。売れてる芸人、売れてない人。カネに細かい人もおれば、カネもないのに周囲に大盤振る舞いする人もいた。楽屋でしかできない、仲間内のおもろい話題がポンポン出るんです。舞台では全然受けないのに、楽屋では皆から爆笑を取る。そんな人もいましたね。
八方が月亭可朝さん(故人)に弟子入りしたのが1968年(昭43)。19歳だった。可朝さんといえば古典に定評ある落語家でありながら、ちょびひげにカンカン帽がトレードマーク。ギターを抱えて「嘆きのボイン」をヒットさせた異色の人気スター。
ギターは未経験だったが、楽屋で音楽ショー「ザ・ダッシュ」のメンバーからコードの押さえ方を教わった。命じられてギターを買いにいったのは弟子の八方だった。
ある日、可朝さんが八方に「さあ、行くで」と声を掛けた。なんのことか分からないまま八方は後をついていく。向かった先は当時、うめだ花月劇場と同じビルにあった映画館。上映中のスクリーンの前を横切るように、可朝さんが駆け抜ける。八方もそのまま追いかけた。映画を見ていた観客は何があったのか見当もつかず、ポカンとするばかりだった。
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