小林薫が語る「Dr.コトー診療所」「映画」「役者冥利」/ロングインタビュー

小林薫、71歳。20歳で劇団に入り、歩み始めた俳優人生は半世紀を超えた。その中「こんなに生命力がある作品は、そんなにない」と語る映画「Dr.コトー診療所」(中江功監督)が公開された。今年は同作含め、出演した映画が3本、公開された。映画へのこだわり、そして俳優、芝居とは何か…それらの問いかけに、静かに語った。

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◆小林薫(こばやし・かおる) 1951年(昭26)9月4日、京都府生まれ。71年から唐十郎氏主宰の状況劇場で活動。近年、出演した映画は「Arc アーク」(21年)「はい、泳げません」(22年)。来年は、映画「仕掛人・藤枝梅安」2部作(河毛俊作監督、2月3日、4月7日公開)とWOWOWが春から3シーズンにわたって放送する「連続ドラマW フィクサー」が控える。女優でモデルの小梅(49)との間に長男。175センチ、血液型A。

義理の息子でも「先生」

小林が「Dr.コトー診療所」で演じる星野正一は、志木那島の村役場の民生課課長として、医師の招聘(しょうへい)に奔走。医者不在の村に志願してやって来たコトーこと五島健助(吉岡秀隆)を東京から招いた。娘の彩佳(柴咲コウ)も診療所の看護師と、物語のキーマンの1人だ。

それが、シリーズ完結編となる映画での正一は、役場を定年退職し、彩佳も数年前にコトーと結婚し妊娠7カ月と完全に隠居の身だ。猛烈な台風が島を直撃し、診療所が野戦病院と化した上、島の医療を支えてきたコトーにも病の影が忍び寄る中、オロオロするばかり…。村を引っ張った現役時代とは対照的な姿だ。

「嵐は来るし、崖崩れは起き島民のほとんどがケガして診療所はあふれ返る。みんな治療とか大変な思いで一生懸命、頑張っているところを、正一さんだけ足手まとい…何の力にもなっていないんじゃないかな」

何より、コトーが先生から義理の息子になったのは大きな変化だが、正一は1つ屋根の下に住んでも「先生」と呼ぶ。そこは、中江監督と話し合ったという。

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