7冠の夢消えた羽生善治、異例の敗者会見 95年王将戦VS谷川/レジェンドの記憶②

国民栄誉賞棋士、羽生善治九段(52)が藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)に挑戦する、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局が8日から静岡県掛川市で行われる。将棋界を代表するスターの両者がタイトル戦で激突するのは、初めて。タイトル獲得通算99期の羽生は、100期獲得を目指す。そんなレジェンドは1995年(平7)から翌96年にかけ、前人未到の7大タイトル全制覇を達成した。当時を知る将棋担当の赤塚辰浩記者(58)が記す「レジェンドの記憶」。

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95年3月24日 谷川(左)との王将戦第7局を終えた後の感想戦で

95年3月24日 谷川(左)との王将戦第7局を終えた後の感想戦で

お互いに3勝3敗で最終局にもつれ込んだ95年第44期王将戦7番勝負第7局の対局会場、青森県十和田湖町(現十和田市)「奥入瀬渓流グランドホテル」には、50社150人ほどの報道陣が詰めかけた。ホテルの大宴会場が控室となってテーブルとイスが置かれ、臨時電話にファクス回線が敷かれていた。

第6局から第7局までの間に、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた。一連のオウム事件へ発展し、日刊スポーツ文化社会部は部長、デスク以下、フル稼働でこの関連の取材に追われていた。そんななか、「羽生が7冠を達成したら1面」とか「中面を見開きで展開」などの構想もあった。私だけは、対局の準備をしていた。

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