羽生善治、婚約パワーで7冠へあと1勝 96年王将戦VS谷川/レジェンドの記憶③
国民栄誉賞棋士、羽生善治九段(52)が藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)に挑戦する、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局が8日から静岡県掛川市で行われる。将棋界を代表するスターの両者がタイトル戦で激突するのは、初めて。タイトル獲得通算99期の羽生は、100期獲得を目指す。そんなレジェンドは1995年(平7)から翌96年にかけ、前人未到の7大タイトル全制覇を達成した。当時を知る将棋担当の赤塚辰浩記者(58)が記す「レジェンドの記憶」。
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6冠防衛は、出だしからつまずいたかに思えた。森下卓八段(当時)の挑戦を受ける、第53期名人戦7番勝負第1局(1995年4月7、8日、京都市「宝ケ池プリンスホテル」)は、明らかに羽生の敗勢だった。
終局間近になり、報道陣は対局会場の近くで静かに待機していた。ところが、主催者に呼び戻される。これだけは指してはいけないという手を、森下が指してしまったからだ。「歴史的大失着」で、形勢は一気に逆転。徳俵に足がかかっていたはずの羽生が息を吹き返して開幕局で勝ちを拾うと、4勝1敗で名人初防衛を果たした。
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