仲代達矢 90歳「老いぼれ役者」新たな1歩を踏み出す一人芝居/ロングインタビュー

俳優仲代達矢の90歳の挑戦が始まっている。一人芝居「バリモア」(3月16~23日、東京・北千住のシアター1010)を控え、稽古を重ねている。昨年、役者生活70年という節目の年で、12月に卒寿を迎えた。今また新たな1歩を踏み出す思い、舞台と映画の両輪で活躍を続けてきた仲代を支えてきたもの、素顔が垣間見える日常生活のことなどを語った。

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◆仲代達矢(なかだい・たつや) 1932年(昭7)12月13日、東京都生まれ。俳優座養成所を経て、55年に俳優座入団。75年に妻の隆巴さんと無名塾を設立。代表作は舞台「リチャード三世」「マクベス」「どん底」など、映画「人間の條件」「切腹」「影武者」「乱」、ドラマはNHK大河「新・平家物語」など、多岐にわたる。95年、夫妻で監修した演劇専用の能登演劇堂開場。10月20日~11月5日には同所で「等伯-反骨の画聖-」を演出する。03年旭日小綬章、07年文化功労者、15年文化勲章。

81歳時に初演

仲代が率いる無名塾の稽古場で取材を行った。「よろしく」とよく通る声には活力が満ちている。仲代は、81歳の時に初演した一人芝居「バリモア」に挑もうとしている。シェークスピア作品などに出演した実在の米俳優ジョン・バリモアが晩年、人生を振り返り吐露しもがく姿を描いた。

「役者の人生を題材にしているんです。『リチャード三世』を最後にやりたい老いぼれ役者。私も70年も役者をやってて、その折々に抱いた考えはたくさん自分の中にあるんです。そういう思いをバリモアの人生を借りて、ちょっと吐き出してみたいですね」

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