79歳片岡仁左衛門なお進化 「経験重ねて、気持ちになって」7年ぶり12回目「与三郎」

歌舞伎俳優片岡仁左衛門(79)が東京・歌舞伎座「鳳凰祭四月大歌舞伎」(27日まで)で、7年ぶりに「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」に挑んでいる。演じる役は歌舞伎演目の中でも色男の1人。加えて複雑な背景を持つ難しい役どころ。初役の思い出や、仁左衛門襲名から25年を迎えての思いも語った。

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◆片岡仁左衛門(かたおか・にざえもん) 1944年(昭19)3月14日生まれ。49年9月、大阪・中座「夏祭浪花鑑」で本名片岡孝夫で初舞台。父で13代目仁左衛門が旗揚げした「仁左衛門歌舞伎」で演じた「女殺油地獄」の与兵衛が話題に。93年、大葉性肺炎などで1年間休養し、94年舞台復帰。98年1~2月歌舞伎座「吉田屋」「助六曲輪初花桜」で15代目片岡仁左衛門を襲名。映像作品ではNHK大河ドラマ「新・平家物語」で高倉天皇を、「太平記」で後醍醐天皇を演じた。テレビ東京系「眠狂四郎」シリーズでは主演。映画「最後の忠臣蔵」で大石内蔵助を演じた。06年紫綬褒章、15年人間国宝に認定、18年文化功労者。屋号は松嶋屋。

「楽しみ」

死んだと思っていた恋人同士の再会の物語。ほれてはいけない相手にほれた主人公は、体中をめった切りにされ、34カ所の切り傷を負い「切られ与三郎」と呼ばれるようになる。過去と因縁を思わせる傷痕が、色気をいっそう引き立てる。昨年6月に出演予定だったが、仁左衛門が帯状疱疹(ほうしん)を患い、上演できなかった。

「久しぶりで私も楽しみにしてました。逃したらもうできないかなと思ってたんですが、今回、会社(=松竹)の方から言われまして。こっちから言うよりは、やってくれと言われることがうれしいことです」

初役は1982年(昭57)3月。父の13代目仁左衛門さんに教わった。せりふ回しに加えて、与三郎がもともと持っている上品さを大事にすることを教わったという。与三郎は小間物問屋の若旦那だが、家の事情であえて遊びほうけるという背景を踏まえた教えだ。

「すそをめくって座る場面がありますよね、その時に(ふんどしの)前袋を見せないように足を組むんです。座る時の足の位置などを教わりました。そうしないと演技が上品でなくなるんです」

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