藤竜也の一途な思い、三原監督に「何年でも待ちます」妻とは寝る前握手/インタビュー
藤竜也にとって今年は映画デビュー60周年に加え、81歳にして2本の主演映画が公開される節目の年となった。18日公開の「高野豆腐店の春」では、豆腐職人を演じるために豆腐店で学び、三原光尋監督(59)が21年5月に広島県尾道市で行ったロケハンに同行と、役作りに一片の妥協もない。「私が生きている意味」と語る映画と、68年8月の結婚から「55年一筋」と語る元スター女優の妻・芦川いづみさん(87)への、いちずな思いと生き方に迫った。
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◆藤竜也(ふじ・たつや) 本名・伊藤龍也。1941年(昭16)8月27日、中国・北京生まれ。横浜市で育ち、現在も在住。66年の渡哲也さんの主演映画「嵐を呼ぶ男」で存在感を見せ、70年代の日活のアクション映画「野良猫ロック」シリーズで活躍。三原監督の「村の写真集」に主演し、第8回上海映画祭最優秀男優賞を受賞し同作も最優秀作品賞と2冠。21年のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」などテレビドラマへの出演も多数。173センチ、63キロ。
81歳で2本の主演映画
「高野豆腐店の春」は藤にとって「ぜひ、撮ってもらいたい映画」だった。全世界がコロナ禍に見舞われて早々、三原監督からシナリオが送られてくると「何年でも待ちますから、ぜひ出演させてください」と速達で返した。05年「村の写真集」、08年「しあわせのかおり」と2本の主演作で培った信頼が全てだった。
「人間賛歌を撮る監督ですから。これで3部作…キリもいいしね。(いつ撮れるかは)分からなかった。もしかしたら85、86歳まで待たなきゃいけないかもしれない。それでも、また三原さんとやりたい。それまでに生きてりゃ良いと思って、なるべく早くやってくださいとは言ったけど」
劇中では、尾道の下町で大豆にこだわり、娘と二人三脚で豆腐を作る高野辰雄を演じた。娘の春を演じた麻生久美子(45)とは97年の主演映画「猫の息子」以来26年ぶりの共演だった。
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