「元気だけは負けない!」ザ・ぼんち 若手に刺激受け、よみがえる20代のネタ
漫才コンビ「ザ・ぼんち」は昨年、70歳を記念して「吉本興業110周年感謝祭 ザ・ぼんち古希記念公演ツアー~ダイヤモンドは砕けない~」を実施、成功させた。後を追ってくる若手漫才師に刺激を受けつつ「元気では負けないぞ!」と、ぼんちおさむ(70)里見まさと(71)は、まだまだ意気軒高。大ベテランでありながら、さらに前をしっかり見据えている。
お笑い
<吉本芸人インタビュー>
◆ザ・ぼんち ぼんちおさむは1952年(昭27)12月16日、大阪市出身。里見まさとは52年4月25日、兵庫県姫路市出身。大阪・興国高の同級生として出会い、72年10月、コンビ結成。「ヤングおー!おー!」「モーレツ!しごき教室」(ともにMBSテレビ)などへの出演で人気上昇。80年からの爆発的な漫才ブームで一気に全国区スターに。81年発売のシングル「恋のぼんちシート」がヒットし、オリコンチャート最高2位。同年7月21日には日本武道館でコンサートを成功させるなど、時の人となった。漫才ブームが収まった86年にコンビ解散。
おさむは俳優としてテレビ朝日系「はぐれ刑事純情派」(88年~03年放送、藤田まこと主演)にレギュラー出演。まさとは故亀山房代さんとコンビを組み、しゃべくり漫才で98年上方漫才大賞受賞。01年、解散。
02年、ザ・ぼんち再結成。若い頃と変わらぬ元気いっぱいの漫才で、NGKや京都・よしもと祇園花月などに出演している。
70歳超えは2組だけ
笑いの王国・吉本にあって、漫才コンビの2人とも70歳を超えているのは、西川のりお(72)上方よしお(70)と、ザ・ぼんちの2組だけ。20代から全力で駆け抜けてきたキャリアは飛び抜けており、今なお舞台で輝く話芸、情熱は若手芸人が簡単にマネできるものではない。
まさと 昨年の古希ツアーでは、3月11日のNGK(なんばグランド花月)に始まり、名古屋・滋賀・福岡・東京と回らせてもらいました。1カ所1カ所、ゲストの協力を得て、我々はとにかく「日本一元気な漫才」を心がけて舞台に立ちました。元気はザ・ぼんちの生命線ですから。
ツアーにはミルクボーイ、カベポスター、オズワルドらの後輩芸人がゲスト出演した。
おさむ 若い人に助けられて、同じ舞台で刺激を受けました。「自分たちは若手の見本になるようなしゃべりができているか?」はともかくとして「元気だけは負けない!」という気持ちでした。たくさんの人から「元気ですね」と言われて、うれしい半面、「俺の取りえは元気だけか?」と答えてましたね(笑い)。
天才ピアニスト脱帽
滋賀公演(9月4日)でゲストとして同じ舞台に立った天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)は、大先輩の漫才にあらためて脱帽した。「(ザ・ぼんちの)ネタが楽しくて、腹を抱えて笑いました」「予定外の展開でワクワクさせてくれました」と振り返っている。
さらに、自分たちの子どものような年齢の後輩芸人にも丁寧にあいさつしてくれ、公演後に会場外で見送るファンには満面の笑みで接したことなども天才ピアニストは打ち明けた。
まさと 我々のイベントではあっても、若手の皆さんのいい部分を発揮してもらって、いろんな笑いを見ていただくのが大事なんです。単に時間つなぎのゲストではなく、お客さんには全体で楽しんでもらいたい。だから、天才ピアニストのますみちゃんにも「遠慮なく上沼(恵美子)さんのネタをやってね」と声をかけました。
おさむ エネルギーを若い人からもらうので、おおいに刺激になります。若手が舞台で伸び伸びとやってくれる、それが僕らもうれしいんですよ。
まさと 若い人たちの漫才を見るのは、本当に楽しみ。将来どこまで成長していくのか、有望なコンビがごろごろいますよ。
おさむ 皆さん、ネタが面白いし、しゃべりも上手。言葉のキャッチボールが素晴らしいです。
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