松竹から異例の移籍 タフネスが武器の黒帯、険しい山道登りMー1王者へ、はい上がれ
黒帯は、吉本にあって異色のコンビだ。高校時代の同級生だった大西進（35）てらうち（36）は、松竹芸能の養成所からスタート。ライブ出演を重ね、考え抜いた末に、オーディションを経て吉本入り。念願かなったはずだが、そこからが苦労の連続だった。大阪・よしもと漫才劇場（マンゲキ）からも一時、出番を失う。解散危機に陥り、泥水をすすりながら、必死ではい上がった。アウトサイダー芸人ならではの魅力をふりまき、今では劇場に多くのファンを集め、YouTubeでも人気を集めている。
お笑い
＜吉本芸人動画付きインタビュー＞
◆黒帯（くろおび） 大西進（おおにし・すすむ＝写真左）、てらうち（同右）によって2010年（平22）10月、コンビ結成。出会いは高校時代の柔道部。ともに初段で黒帯を保持する。09年10月、そろって松竹芸能（大阪）のタレントスクール入学。「さらば青春の光」は先輩、ヒコロヒー、Aマッソは後輩になる。14年4月、松竹を辞め、フリーに。翌15年9月、オーディションを経て吉本入り。NSC32期扱い。よしもと漫才劇場所属。ことし6月30日にNGKで初の単独ライブを成功させ、10月1日には東京・ルミネtheよしもとで初単独ライブ「黒帯って何がおもろいの？」を開催する。
大西 88年（昭63）1月31日、大阪府東大阪市出身。趣味は映画鑑賞、街歩き。身長176センチ。
てらうち 87年6月18日、東大阪市出身。趣味は映画鑑賞、マンガ。身長170センチ。
独自の道を歩む「黒帯」大西進(左）てらうち(撮影・村上久美子)
アルバイト辞められた
6月30日、黒帯は初のなんばグランド花月（NGK）単独公演を行った。800を超す客席は満員。大成功だった。
てらうち チケットがすぐさま完売して「これは、やばい！」と驚きました。もとはといえば、NGKの支配人から「やってみないか？」と声をかけられたのが最初で、せっかく誘われたんだから「じゃあ、やってみようか」という感じでしたから。
大西 仲の良い先輩である金属バットさん、Dr．ハインリッヒさんが先にNGK単独をやられていて、その流れに乗っかったのかな、という気もします。運もあったんじゃないですか。
てらうち NGK公演がうまくいって「すごいやないか！」と周囲から褒めてもらえるようになりました。
どこか人ごとのように受け止めている2人だが、若手芸人にとってNGK単独ライブは快挙であり、大きな目標でもある。
具体的なプラス面としては「アルバイトを辞められた」と、てらうち、大西は声をそろえる。
大西 路上に放置された自転車を整理するバイトをやってましたが、炎天下はきつかった。でも（バイトは）「もう辞める？」と尋ねられて「（いつでも戻れるように）籍は残しておいてください」とお願いしました。
てらうち 僕は障がい者を介護する仕事をやってましたが、同じように籍は残しています（笑い）。
本文残り71％ （2305文字／3269文字）
