研17で宙組トップ就任 芹香斗亜「終わりはない」宝塚と芸事への情熱
宙組新トップに就いた芹香斗亜は、9月29日に兵庫・宝塚大劇場で、本拠地お披露目公演「PAGAD(パガド)」「Sky Fantasy!」の初日を迎えた。相手娘役に春乃さくらを迎えた新コンビが、いよいよ組を率いて本格始動。大羽根を背負い、最後に大階段を下りて見る景色は「一生忘れないんだろうな」と思いをはせる。宝塚は11月5日まで、東京宝塚劇場は11月25日~12月24日。
演劇
◆芹香斗亜(せりか・とあ) 1月20日、神戸市生まれ。07年入団。星組配属。10年「愛と青春の旅立ち」で新人公演初主演。12年4月に花組。13年バウ公演初主演。17年「MY HERO」で東上初主演。同年10月宙組へ。今年6月、真風涼帆の後任として宙組トップに就任。相手娘役に春乃さくらを迎え、7~8月「Xcalibur エクスカリバー」でトップ初主演。身長173センチ。愛称「キキ」。
本拠お披露目もダークな役
少し照れたような、でも、晴れやかな笑顔がまぶしい。ついに就いたトップの座に、オファーを受けた瞬間を「ただただ、うれしかった-の一言につきます」と振り返った。
すでに、東京公演「Xcalibur エクスカリバー」でトップ初主演は終えたが「気持ちの上では自分でもびっくりするぐらい何も変わらなくて。すごくボリューミーな公演だったので、毎日生き抜くのが精いっぱいでした」。
今作の芝居では、18世紀の南フランスを舞台に世紀の奇術師「カリオストロ」を演じる。近年磨いてきたダーク色の強い役柄だ。
「お披露目公演でこんなに癖の強い役をさせていただく(笑い)。(前作本拠地作で前トップ真風涼帆らを見送り)ファンの方からも『キキちゃんの悪役を見るのも最後ね』って言っていただきましたが、実は『次もとんでもない役だぞ』と思いながらやって…」
アクの強い役の方が「演じがいがある」と言い、公演ポスターの「目ヂカラ」も話題に。入団して星組に配属され、花組に移り、宙組へ。花組、宙組ではトップを最も近くで支える立場で芸を磨いてきた。
「(歴代)トップさんからも、先生方からも『情熱を傾け続ける大切さ』を教えていただいて。情熱があるから頑張って努力できるとも思うので、情熱をすごく大切にしています」
立場が上がっても熱心に劇団レッスンへ通った。アスリートのような追求心も持ち味のひとつ。2度の組替えは転機であり「本当に一番苦しい時期でもあった」とストレートな思いも。
「でも、いろいろな方からたくさんの教えをいただいた。それは宝塚にずっといて良かったと思うこと、一番の大きな収穫です」
◆ミュージカル・ノワール「PAGAD(パガド)」~世紀の奇術師カリオストロ~(脚本・演出=田渕大輔) アレクサンドル・デュマ・ペール作のピカレスク小説をベースにした映画をもとに、希代の奇術師カリオストロ伯爵の愛と復讐(ふくしゅう)を描く。舞台は18世紀の南フランス。ロマの青年ジョゼフは、未来を予見する「不思議な力」を持つ母を処刑した、ド・モンターニュ子爵に敵討ちを企てる。母譲りの力、「催眠療法」を駆使して、貴族に近づく。
◆ショー・スピリット「Sky Fantasy!」(作・演出=中村一徳) 「天空」「空」をテーマにした芹香、春乃の新コンビの幕開け作。夢、希望を胸に、未来へ羽ばたく新生宙組の姿を描き出す。
「景色の広さが全然違う」
努力し続ける原動力は、宝塚と芸事への情熱だ。
「自分でも怖いぐらい(笑い)練習するのが好きだなと思うんですよ。やればやるほどもっとこうしたいと思う。宝塚愛と芸事への情熱に終わりはないので」
長年トップを最も近くで支え、研17での就任。“本拠地デビュー”を前にしても、平常心は崩れない。
「もう少し前だったら考えたかもしれないんですけど(笑い)。次はあそこ(トップ)しかないと思ってやってきた期間が長かった。意気込んで-というのは残念ながら、あまりないです。そうなったらどのくらい稽古をして、どのぐらい努力して、どのぐらいエネルギーを使わなきゃいけないか。もう全部、自分の中では消化してきています」
キャリアを積んだ今、就任する強みも感じている。
「自分には今のタイミングしか、無理だったんだろうと思っています。2、3年前とは見えてる景色の広さが全然違う。より広い視野で多角的に物事を捉えられるようになった」
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大阪府貝塚市生まれ。関西大学から1991年入社。
1年目で若山富三郎さんが死去するなど、多くの芸能人の訃報に携わった。途中、3年間整理部勤務を経て、三橋美智也さん、村田英雄さんら、関西へ移って亡くなった大物歌手を次々に見送り、2000年頃から、吉本興業を担当。
2005年から3年弱、東京の文化社会部でお世話になり。大阪へ戻った後、2009年シーズンから入社初の野球記者となり、真弓阪神、女子プロ野球選手の吉田えりらを取材。
その後、再び、芸能社会担当へ戻り、ここで入社初の宝塚歌劇団担当に。吉本、短期間ながら阪神タイガースと、加えて関西発の3大ホットコーナーを経験。吉本興業、宝塚歌劇の100周年も取材。
NMB48の発足後は、西日本のAKB48グループ担当として、AKB48新聞にも従事した。
2018年4月に報道部で一般スポーツを担当するデスク。同時に、取材活動も並行している。