毎日同じものを何個も…「モンテッソーリ教育」で身に付けた藤井聡太8冠の集中力

天賦の才能と飽くなき「探究心」で全8冠制覇の歴史的快挙を成し遂げた藤井聡太8冠。少年時代は、どのような環境で育ち、どういった教育を受けてきたのか。幼少期の「育ち方」がベースとなり、いま将棋界のトップに上り詰めた。

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幼少編<1>

祖父と将棋をする5歳の藤井聡太四段

祖父と将棋をする5歳の藤井聡太四段

夢中になったハートバッグ

藤井8冠と戦った相手が口にするのは「集中力が続く時間が長い」。プロ棋士もうならせる人並み外れた集中力はどこからくるのか。

藤井は02年7月19日、名古屋市中心部から北東へ約20キロ、古くから「瀬戸物」の産地で有名な愛知県瀬戸市のサラリーマン家庭に生まれた。4歳上の兄のいる次男。自宅の隣には母裕子さんの実家があり、祖父母、裕子さんの姉が暮らしていた。「聡太の周りには大人がたくさんいた」と裕子さん。

木登りが得意で、活発な子どもだったが、裕子さんは「1つのことをやりだしたら止まらないタイプだった」と振り返る。

3歳のとき藤井は地元の雪の聖母幼稚園(愛知県瀬戸市)に入園した。同園では子どもの感性や自発性を尊重する「モンテッソーリ教育」を取り入れていた。5つの領域からなるたくさんの教具の中から子どもは自分で選び、大きさの異なるブロックを順に積み上げたり、教具に内在する法則を理解して活動する。

入園してから夢中になったことがあった。画用紙を編んで作る「ハートバッグ」という袋。裕子さんは「毎日、何個も作ってくるんですよ。『聡ちゃん、きょうもこれだけ作ってきました!』。すごくうれしそうでした。100個くらいは持って帰ってきたと思います」。

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