新喜劇50年、ゆみ姉「楽しませることが使命」耐えてつかんだギャグで笑い爆発

吉本新喜劇に欠かせない個性派女優の末成映薫(すえなり・ゆみ=76)。20年1月に、さらなる運気上昇をねらい「由美」から改名した。新喜劇に加入して50年の節目を迎えたが「年齢が信じられない」「肌がきれいし、いつも元気」と、周囲の座員はその若さと美貌に感心するばかり。12月14日には大阪・なんばグランド花月(NGK)で、出演者が全員60歳以上という異色の公演「生存確認ライブ いこいの郷 インガスンガスン」を主催する。高齢化待ったなしの現代社会。年齢を超越したゆみ姉さんのステージは、老いも若きも見逃せない。

お笑い

<吉本芸人インタビュー>

◆末成映薫(すえなり・ゆみ) 1947年(昭22)3月1日、山口県出身。73年、吉本新喜劇入り。それ以前はクラブ歌手、殺陣師の的場剣友会などを経験した。新喜劇では「ごめんやして おくれやして ごめんやっしゃー」「インガスンガスン」などのギャグを縦横無尽に操る。巨大なかつらを使用する際には「千と千尋の神隠し」の湯婆婆に似ていることをいじられることが多い。71歳で大阪マラソンを完走。趣味は料理とシャンソン、日本舞踊。身長158センチ。

吉本新喜劇入りから50年。なお精力的に舞台を務める末成映薫

吉本新喜劇入りから50年。なお精力的に舞台を務める末成映薫

藤山直美16年ぶり吉本に

参加メンバーが豪華そのもの。藤山直美(64)中村美律子(72)西川きよし(77)西川ヘレン(77)月亭八方(75)。新喜劇からは池乃めだか(80)島田一の介(73)浅香あき恵(67)ら。いずれも年齢を感じさせない元気者ばかりだ。

末成 作曲家の中村泰士さん(代表作に「北酒場」など)との約束が始まりなんです。もう何年も前ですが、一杯やりながら「ゆみ姉、全員が60歳以上のイベントって面白いでしょ。やってみようよ!」と言い出されたんですよ。残念ながら中村先生は(20年12月に)亡くなられたんですが、このことを会社(吉本)に伝えたら、えらい乗り気になって。

言うまでもなく藤山直美は松竹新喜劇の大看板藤山寛美さんの娘であり、吉本と松竹はライバル関係。直美がNGKの舞台に立つのは、07年6月の「小籔新喜劇 座長になって一年たちましたスペシャル」以来のこと。ただ、直美と末成は深く静かにつながっていた。

末成 共演という意味では初めてになりますが、うちに来てもらって、鍋をいっしょに食べたこともありました。最近もご自分の舞台で「ごめんやして おくれやして おくれやっしゃ」と私のギャグをやってくださってるようで、ありがたいことです。「直美ちゃんには絶対出てほしい」と今回の出演をお願いしたら、あっさり受けてくださって。ただ「歌は勘弁してなあ。自分の舞台でのどが疲れてるから」と言われました。お芝居には出てくださいます。私のギャグも、ただ言うだけでなく、しっかり芝居の中に溶け込んで使ってもらっているので、尊敬しますねえ。

コロナで公演大半が休止

12月14日は、芝居とショーの2部構成になる予定。ショーの方では、末成も昭和の懐かしい曲を歌うという。旧友の中村美律子からは「出るさかい、歌は歌わせてな」とリクエストを出されている。

世の中は徐々に、しかし着実にコロナ禍から回復しつつある。末成も昨年9月の大阪松竹座公演「アンタッチャブル・ビューティー~浪花探偵狂騒曲」の大半を休止に追い込まれた苦い経験が。

末成 あのときは紅ゆずるさんとお芝居がご一緒できると喜んでいたんですが、コロナのおかげで舞台に立てたのは初日と楽日だけでした。新喜劇もコロナで長いこと休みました。それを思えば、今は天国ですよ。舞台に立てなかった苦しみを経験して、若い子もベテランも今、気持ちが爆発しているんです。歩いて、しゃべって、元気に舞台に立つ。目いっぱい笑ってもらって、お客さんも元気になっていただく。客席にいる皆さんの笑顔を見ると「ああ、私は幸せやなあ」と心から思います。

本文残り61% (2061文字/3398文字)

エンタメ

三宅敏Satoshi Miyake

Osaka

大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。
主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。
2011年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、2022年から記者として復帰。吉本のお笑い芸人などを取材している。
好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。