aRB新連載【記事のASOBIBA〈1〉】かばお 秘蔵フォト公開…亡父への思いも

ダンスのプロ、Dリーグでも抜群の人気を誇るavex ROYALBRATS(aRB)が、日刊スポーツ「Dリーグのオドリバ PREMIUM」で連載をスタートします。ステージ上のパフォーマンスやSNSなどの動画だけでは分からない、各メンバーのプライベートや考え方を文章でつづっていきます。題して「記事のASOBIBA」。トップバッターは、かばお(28)です。スノーボードやボクシングにも挑戦した学生時代、会社員時代の話もたっぷりと語ってくれました。

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「Dリーガーのオドリバ」連載はこちらから!

スライディング土下座の裏側

皆さん、こんにちは。かばおです。

avex ROYALBRATSが日刊スポーツの「Dリーガーのオドリバ」で連載することになり、トップバッターで登場させてもらいました。

かばおは、カメラを向けるたびに違う表情をしてくれる

かばおは、カメラを向けるたびに違う表情をしてくれる

僕がメインダンサーを務めたラウンド5(12月28日)は会場がかなり盛り上がってくれました。結果はドローで、悔しさもあるけど、観客の皆さんに喜んでもらえるとうれしいですね。

テーマは「謝罪」で、謝罪会見をモチーフにしました。メンバーが持ち上げた机から僕が滑り落ちていき、その勢いで前転してから土下座するという「スライディング土下座」を決めました。

あれは結構高さがあって怖かったんですよ。たぶん、見てくれた皆さんが想像している3倍以上は怖かったです。

リハーサルのとき、みんなのノリで始まったアイデアで、最初やったときに、怖いから「これ、あんまり良くないかな」と思ったんだけど、みんなが気軽に「もう1回やって」みたいな感じになって…もう、キレそうでしたね(笑い)。「いや、そんな簡単じゃないぞ、怖いんだぞ!」みたいな。

机を持ち上げるメンバーの疲労を考えて、何度も練習できなかったんですよ。当日もリハ3回ぐらいしかできなかった。

本番もアクシデントがありました。

机の上で布に足が引っかかるし、滑ったら予定より前までいっちゃって、そのままだとマイク直撃なので、着地した瞬間にピョンと後ろに下がっている。動画で見たら、分かると思いますよ。

机上から滑り落ちて前転すると(左上)、マイクにぶつかりそうになり(右上)、後ろにピョンと飛んで(左下)、土下座を決める(右下)

机上から滑り落ちて前転すると(左上)、マイクにぶつかりそうになり(右上)、後ろにピョンと飛んで(左下)、土下座を決める(右下)

実は「謝罪」に決まる前、いくつか別の候補がありました。「掃除業者」とか「引っ越し業者」とか、そういうのもやりたかったんですけど、やっぱり僕はスーツのイメージがあるよなと思って。

一昨年(21-22シーズンのラウンド8)にスーツ姿で「スターゲート」と題して、「会社員を辞めてダンサーとなっていく」というテーマをやりました。スーツに付箋をいっぱい貼って、最後はそれが花吹雪のように舞っていきました。

21-22シーズンのラウンド8もスーツ姿でパフォーマンスした(中央がかばお)ⓒD.LEAGUE 21-22

21-22シーズンのラウンド8もスーツ姿でパフォーマンスした(中央がかばお)ⓒD.LEAGUE 21-22

そのときのイメージもあるだろうし、元サラリーマンでもあるので、やっぱり僕、スーツが映えるからスーツ着てえなぁと思って、それでおもしろいものを作りたいなと思ったときに「謝罪会見」が思い浮かびました。

昔「めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!)」で、岡村(隆史)さんが謝罪会見をパロティーでやっていて、マイクを向けるところとか、面白おかしくやっていました。それが好きだったのもありました。

記者役のメンバーは腕をマイクとして、かばお(中央)に差し出す

記者役のメンバーは腕をマイクとして、かばお(中央)に差し出す

謝罪会見って、いろんなことが起きるでしょう。追い詰められた人が会見して、記者側も攻めていく。なんか失礼な記者さんがいたりとか、記者同士でもめたりとか。エンタメにできそうだし、スーツも着られるなと思って、よし「じゃあ謝罪会見でいこう!」と思いました。

だから、僕の中では主人公は記者側だったんですよ。記者役を務めた7人が、それぞれ個性を出した髪形とか、マイクの出し方とかで個性を出してくれました。

最初は実際のマイクを持つ案もあったけど、片付けとの問題もあるので、最終的に「拳マイク」になった。腕にスパンコールを巻いてマイクに見立てたり。

いい作品になったと思っています。

くら寿司で父に叱られた思い出

子どもの頃はサッカー少年でした。小学2年で友達に誘われて始めて、高校卒業までやっていました。ポジションは主にボランチでした。

その前は野球の特訓をしていたんですよ。父が元高校球児で、もうメチャクチャな人だったから、公園で「今日は1000本ノックだ」とか、結構、昔の感じでやって、仕方ないからやっていたけど、そんなに好きじゃなかった。

でも、サッカーを始めるときは、父も「じゃあ、サッカーをがんばれ」という感じで応援してくれました。

今では許されませんけど、父にはケツバットもされましたよ。悪いことをすると、金属バットでオシリをひっぱたかれた。それがイヤだからバットを隠しておいたんですけど、代わりにカサでやられました。

忘れられないのは、僕のサッカー友達と家族で「くら寿司」に行ったときですね。小学3年ぐらいかな、僕が自分の分ばかり注文していたら、父に「友達が食べたいものを聞くのが先だろ!」と怒られました。

それから、友達のこととか、周りの人のことを考えるようになりましたね。

楽しいパフォーマンスの中にダンスの見せ場が盛り込まれている

楽しいパフォーマンスの中にダンスの見せ場が盛り込まれている

今は、ファンの方々のことをよく考えます。ダンスだけではなくて、Dリーグ恒例の「お見送り会」などで接する時も、少しでも楽しんでほしいなと思ってファンの方に声をかけます。そこまでがエンタメだと思っているんです。

とにかく怖い父で、よく怒られたけど、筋は通っていた気がします。僕が母と喧嘩して「うるせえ。ふざけんな」と言ったときはボコボコにされました。

その父は、僕が中学2年のときに交通事故で亡くなってしまいました。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。