【Dリーグ】スイープで初勝利のdip BATTLESが非常事態?/ROUND.10リポート
<D.LEAGUE 23-24SEASON ROUND.10>◇3月10日◇東京・東京ガーデンシアター
D.LEAGUE史上初の1ROUNDで5度のスイープが達成された。一方的な対戦ばかりかと思いきや、どれもジャッジ泣かせの好勝負。その中でも開幕から引き分けなしの7連敗で無得点だったdip BATTLESがBenefit one MONOLIZを6―0で破った。リーグ最年少のディレクターを兼任するKENSEI(22)が苦しかった日々から抜け出すきっかけを明かした。
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5戦が6-0、床掃除したチームは…
「SWEEP=スイープ」は「掃く」「一掃する」などを意味する。スポーツ界ではメジャーリーグのポストシーズンなど同一カード4連戦(または3連戦)を全勝することを意味する。連勝で迎えたファンが、最終戦にほうきを持って観戦したことから定着したという説もある。
D.LEAGUEではオーディエンス票を含む6人のジャッジからすべて得点することで、通常2点のCSポイントに1点加算されるため、ランキングの行方を左右する。
ROUND.10は、2nd MATCHで「研(みが)く」をテーマに、SEPTENI RAPTURESがぞうきんがけするパフォーマンスでKOSÉ 8ROCKSを4―2で破った以外は、すべてスイープで決着した。ステージを掃除してもスイープは達成できない。だから、何なの? そう思われるだろうが、簡単にはいかないのがスイープだ。
ステージが濡れた!
dip BATTLESは初勝利をスイープで飾ったとたんに、メンバーが床掃除を始めた。
MCのケリー隆介が勝利をコールすると、ディレクターのKENSEIが、小走りに舞台袖に消えた。それとは別にあるメンバーが喜びのあまり、放り投げたペットボトルがステージ上で転がり、中身の水がこぼれた。
そのままでは次に踊るチームが足を滑らせてしまう。それに気付いたメンバーは慌てて上着を脱ぐと、その上着で濡れた場所を拭き始めた。
そんなことは知らず、戻ってきたKENSEIはマイクを渡されると「ありがとうございます。去年、あんな、順調やったのに、今年…めっちゃ、しゃべろうと思ってたら、涙止まってしまった」と強がった。そして「苦しくて、まだ気持ち追いついてなくて…。こっからオレら、上げています!」と絶叫した。拭き掃除をスタッフに任せたメンバーも歓喜の輪に加わった。
昨年「ベストスキル」のタイトルを受賞した大器は、開幕前にディレクターに指名された。
迷いはあったが、20代を迎えたばかりだからこそできるディレクター像を描き、同年代の仲間たちとダンス革命を目指す道を選んだ。
開幕すると善戦するものの負けばかり。敗者の弁は「次につながる負けだった」「あきらめず勝利を目指す」と前向きな言葉を選んだが、苦しい日々が続いた。
もともと、眠りが浅く、夢の中でアイデアが浮かぶタイプ。ダンサーのころはアイデアの内容を忘れても気にしなかったが、ディレクターになってからは1度ベッドを抜け出し、スマホに向かって夢に浮かんだ振り付けなどを動画に残した。再びベッドに戻ると、また夢を見た。眠れぬ日々が続いたからだろうか、開幕前に撮影した動画に比べるとあごのラインが細く見える。伸ばし始めたひげのせいだけではないかもしれない。
誰かに任せればいい
終演後のインタビュールームで、苦しかった胸の内と、この日を迎えるまでの変化を明かした。
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