【たくろう】「マンゲキの怪人」赤木の手綱引く、アフロヘアきむら…唯一無二の世界観

いかにも落ち着きがなく、挙動不審な赤木裕(32)と、アフロっぽい髪形にメガネが特徴のきむらバンド(34)。漫才コンビ「たくろう」が舞台に登場すると、それだけでファンは笑う態勢に入る。誰にもマネのできない、独特の空気をかもしだすのだ。百聞は一見にしかず。ホームのよしもと漫才劇場(マンゲキ=大阪・千日前)で、生のたくろうを体感してほしい。

お笑い

独特のキャラクターを生かした漫才を見せる「たくろう」の赤木裕(左)と、きむらバンド(撮影・三宅敏)

独特のキャラクターを生かした漫才を見せる「たくろう」の赤木裕(左)と、きむらバンド(撮影・三宅敏)

◆たくろう2016年(平28)3月9日、コンビ結成。18年M―1グランプリ準決勝進出。19年ytv漫才新人賞決定戦準優勝、24年NHK上方漫才コンテスト準優勝。

◆ 赤木裕(あかぎ・ゆう) 91年10月24日生まれ、滋賀県大津市出身。NSC(吉本総合芸能学院)37期。趣味は野球、空手。身長171センチ。

◆きむらバンド90年1月28日生まれ、愛媛県松山市出身。NSC36期。趣味はボートレース、ドライブ、ギター、ベース。身長170センチ。

8月12日、大阪・よしもと漫才劇場で、たくろう単独ライブ「回鍋豆腐」を行う。

キムタクとイチロー

コンビ名の「たくろう」は吉田拓郎を指すのではなく、ロックバンドGLAYのTAKUROでもない。まして自宅で受験勉強にいそしむ「宅浪」でもない。

きむら2人でコンビを組むことになった2016年(平28)、それぞれ好きな言葉を出して、ふたつを合体してコンビ名にしようと話し合いました。

赤木で、お互いに好きな人物をあげようと。

きむらが出したのは「木村拓哉」。赤木は「イチロー」をあげた。「たく」と「ろう」をプラスして「たくろう」誕生となった。

「消去法で残ったのは」

きむらとにかく木村拓哉さんが好きでした。誰よりもかっこいい。あのルックスにあこがれました。

「ラブジェネレーション」などのドラマにしびれました。明石家さんまさんと共演する「さんタク」も大好きで。僕は将来、ジャニーズか吉本に行こうと子どもながらに夢を見ていたんですが、小3で急に前歯がにょきっと出てきまして。

当時、愛媛県松山市の僕の周囲では歯を矯正するということも知らなかったので「これではあかん」と、ジャニーズの夢を断念。お笑いを目指すことになりました。

赤木僕は小学校から中学、高校と野球部ひとすじでした。イチロー選手は、とにかくすごいです。打撃、守備、走塁、何をとっても飛び抜けた選手です。

僕はイチロー選手と同じライトを守っていたんですが、高校の途中でマネジャー転向を勧められ、不本意ですが、選手としては終わりました。体はガリガリだったし、筋力が弱くって「マネジャーなんて、いやです!」とは断れなかった。いかにも頼りない野球少年でした。

ひそかにあこがれていたのはプロ野球選手でしたが、現実は難しくて。あれは無理、これもできない。消去法で残ったのはお笑い芸人でした。

きむら36期、赤木37期

「ジャニーズ入り」をあきらめたきむらと、道半ばで野球を断念した赤木。ともにお笑いへと軌道修正し、NSC(吉本総合芸能学院)へ1年違いで入学。きむらは36期。赤木は37期だった。

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エンタメ

三宅敏Satoshi Miyake

Osaka

大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。
主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。
2011年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、2022年から記者として復帰。吉本のお笑い芸人などを取材している。
好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。