大庭雅が伝えたい「楽しんでいいんだ」 宮原知子振り付けのSPに見いだす喜び

フィギュアスケート女子の大庭雅(29=東海東京FH)が、20年目のシーズンを迎えています。

今季の新ショートプログラム(SP)の「水百景」では、2018年平昌オリンピック(五輪)4位でプロフィギュアスケーターの宮原知子(26)に振り付けを依頼。プログラムを作る際には、自分自身に1つの決め事を課しました。

合計154・51点で4位となった中部選手権(愛知・邦和みなとスポーツ&カルチャー)では、新SPで地元のファンを魅了。13度目の全日本選手権を目指す今季への思い、そして次代を担う子どもたちへの願いを明かしました。(敬称略)

フィギュア

中部選手権女子SPの演技をする大庭(2024年9月22日撮影)

中部選手権女子SPの演技をする大庭(2024年9月22日撮影)

宮原の提案に「頑張ります!」

「頑張ります…頑張ります!」

この夏、大庭の声が愛知・中京大のリンクに何度も響いていた。

新SP「水百景」の振り付け。アイスショーの合間を縫って駆けつけてくれた2学年後輩の宮原とともに、2日がかりでプログラムを作り込んだ。

「これできる?」「こういう動きは?」

宮原からの案には、初めて見るような振り付けもあった。

難しく感じた動きもあったが、つとめて「頑張ります」と前向きに返すようにした。

密度の濃い2日間を終え、思わず打ち明けた。

「実は振り付けでこんなに『頑張ります』って言ったのは初めてだった」

宮原からは「え、口癖だと思っていた」と笑われた。

何度も繰り返した「頑張ります」の返答。

その言葉にこそ、競技者として矜持がある。

課した決め事「自分に合った動きではなく…」

「水百景」はバイオリンの伸びやかな音色が特徴の楽曲だ。

「いつか滑ってみたい」と思っていた大庭の脳内では、宮原の姿が自然と浮かんでいた。

「知子ちゃんが鳥のように湖を軽やかに滑っている、伸びやかに踊っているイメージがあって。絶対にお願いしようと思いました」

友人の宮原へ依頼すると「ぜひやりたい」と快諾してくれた。

振り付けにあたって、自分自身に決め事を課した。

中部選手権の女子フリーで演技をする大庭(2024年9月23日撮影)

中部選手権の女子フリーで演技をする大庭(2024年9月23日撮影)

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。