【坂本花織の言葉】チャンピオン向きの曲への道、エキシビションの本音/現地限定 

スケートカナダ連覇を飾った女子の坂本花織(24=シスメックス)が、今季のプログラムの難しさ、エキシビションに対する本音を語りました。

 フリーから一夜明け、現地に足を運んだメディア限定で取材に対応。26日(日本時間27日)のフリー後のコメントも合わせて「坂本花織の言葉」として、お届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダ>◇10月27日(日本時間28日)◇カナダ・ハリファクス◇女子フリー一夜明け

女子フリーの演技をする坂本花織(共同)

女子フリーの演技をする坂本花織(共同)

フリー曲をめぐる紆余曲折

フリーから一夜明け

―フリーから一夜明けました

え? あけまして…おめでとうございます? ああ(一夜)明けましたが、か(笑い)。

―自分の中で昨日は悔しさもあり、という感じでしたが、そこは変わらずでしょうか

うん、変わらずという感じで。グランプリシリーズでこんなに「めっちゃ悔しい」って思ったの、2シーズン前のファイナル(トリノ)以来かなと。

―ちなみに国際大会で2度の転倒は記憶にありますか

いや、ない。かなり…いや。なんか(回転が)“抜け抜け”とかは多分あるんですけど、こけるの2回はめったにないかな。

―また日本に戻ってやるしかない、という感情でしょうか 

やっぱり昨日も言ったみたいに(好演技が)2日に1回できるようになったけど、逆に言えば2日に1回できないし。(練習で)できないのがやっぱり昨日できなかった原因でもあるし、こうやって試合が連日あるっていうと、2日に1回やっている場合じゃないっていうのもある。NHK杯も連日なので、なんとかやっぱり(ここからの)1週間で「今回よりは、まだ良かったね」と言えるぐらいにはしたいなと思っています。どんどん「このハイペースで仕上げていかないといけないな」っていうのは、すごくありました。

女子フリーで演技する坂本(共同)

女子フリーで演技する坂本(共同)

―曲調について話していましたが、初めてマリー先生から「この曲で」と言われた時、どのような心境だったのでしょうか

最初は何曲かを多分合わせるのかなって思っていたんですよ。けど「いや、今年はメドレーじゃなくて、1曲でやりたい」と言われて「お、これはかなりきついぞ」と思って。で、いざ、振り付けをやって。振り付けってパートごとにやるので。パートごとにやってできて、初めて全部をつなげてやった時に「これどこでするんだろう」って感じで。「ペース配分が今までで一番難しいかも」って思いました。もちろん最初ジャンプを入れてやった時は、もうぐっちゃぐちゃのバラバラで。ジャンプも入るわけないし、みたいな。「結構これ、苦戦するな」って思ったら、案の定、苦戦しています。

―ペース配分に関しては、どこで息をするかなど、見つけられつつありますか

だいぶ。ここでこういう状況になったらいけるっていうのは、つかめてはいるんですけど、なかなかここまで、いっていなくて。「ちょっときついかな」の積み重ねで「きつい」ってなっているのが大半です。

女子フリーの演技を終え、得点を待つ坂本花織(左)(共同)

女子フリーの演技を終え、得点を待つ坂本花織(左)(共同)

―マリー先生はあえて、もう息がつけるところがないプログラムにされたのでしょうか

っていうよりかは、多分この曲が送られてきた時に「チャンピオンに向いている曲」みたいな感じで言ってはったので、そういう気持ちで、この曲を選んでくださっていることはすごくうれしいことだし。自分もなんだろう、要望というか、期待に応えたいのもあるので。なんとかこのプログラムをやり遂げたい気持ちもあるし、これを乗り越えたら、自分自身やっぱり、もう1段階強くなれることにもなるかなと思うので、なんとしてでもシーズン通して、これをやりきりたいなとは(思います)。

―昨日の午前中の練習でマリー先生が熱心にずっとご覧になっていました。その後に何かコメントもらいましたか

表情とか、あとはコレオを滑るのも、もちろん大事なんですけど「とにかくコレオは見せていきなさい」っていうのはすごい(言われる)。あとはやっぱり表情も、特にそう言われました。

―マリー先生は振り付けに対して厳しいのか、どのような感じでしょうか。結構自由にやってみて、という感じなのか、いかがでしょうか

時と場合によるんですけど。今回は音ハメの部分も多いし。映画とかミュージカル要素も結構多く含まれている曲なので。やっぱりそれに近づけるようにするために、多分、自由にやらせていたらダメだから。今回はやっぱり、いろいろ指摘はあります。

表彰式で写真に納まる優勝した坂本花織(中央)と2位の松生理乃(左)、3位の吉田陽菜(共同)

表彰式で写真に納まる優勝した坂本花織(中央)と2位の松生理乃(左)、3位の吉田陽菜(共同)

―ファイナル以来の悔しさ。あの時は結構泣いたとおっしゃっていましたが、昨夜はいかがですか

昨日の夜に「やっぱり練習以上のものは試合で出ないな」というのを、すごく思ったので。やっぱり練習は大事だし、裏切らないなっていうのはすごく感じて。感じたまま、すごい睡魔がきました(笑い)。ふーって寝れました。

女子フリー翌日の一夜明け取材で口を真一文字にして記念撮影に応じる坂本花織(撮影・藤塚大輔)

女子フリー翌日の一夜明け取材で口を真一文字にして記念撮影に応じる坂本花織(撮影・藤塚大輔)

―フリーを作るのが遅れた理由を教えてください

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。