【独占】アリサ・リュウ「別人になった」スケート靴を履かなかった1年半、復帰への道

アリサ・リュウ(19=米国)が、競技会へ帰ってきました。

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダでは、約2年半ぶりに主要国際大会に出場。合計187・69点で6位となりましたが、1番滑走だったショートプログラム(SP)では2位につけ、存在感を示しました。

2022年4月に引退を電撃発表し、今年3月に現役復帰を発表した“天才少女”。フリー翌日に日刊スポーツの単独インタビューに応じ、復帰した理由、競技会を離れていた時期の過ごし方、日本選手とのエピソード、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への思いを語ってくれました。

フィギュア

◆アリサ・リュウ(Alysa Liu)2005年8月8日、米カリフォルニア州生まれ。2019年全米選手権で史上最年少の13歳で優勝。同年ジュニアGPシリーズ第1戦アメリカ大会で、米国女子初の4回転ルッツ成功。同年ジュニアGPファイナル2位。2020年世界ジュニア選手権3位。2022年北京五輪6位入賞。同年世界選手権3位。同年4月に引退を表明し、2024年3月に現役復帰を発表。同年GPシリーズは第2戦スケートカナダ6位。第4戦NHK杯(11月8~10日)にも出場予定。

スケートカナダ女子SPで演技を披露するアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

スケートカナダ女子SPで演技を披露するアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

履かなかったスケート靴「スケートしか知らなかった」

―2022年世界選手権以来、約2年半ぶりの国際主要大会を終えました。今の心境はいかがですか

とても良い気持ちです。トレーニングに戻ることを楽しみにしています。もう少しプログラムの練習をしないといけないのは分かっているので。でも、トレーニングを続けることが楽しみですし、とりあえず戻って来ることができて良かったなと思っています。

スケートカナダ女子SP前日の公式練習後に取材エリアで笑顔を見せるアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

スケートカナダ女子SP前日の公式練習後に取材エリアで笑顔を見せるアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

―SP、フリーともに大歓声が沸き起こりました

ステップシークエンスの時に非常に大きな観客の歓声が聞こえてきました。たくさんの観客がいる大きな試合は復帰後では初めてだったので、とてもエネルギーをもらいました。自分自身に「落ち着いて」と言い聞かせなければなりませんでした。ステップシークエンスの時も圧倒されたり、心配しすぎたりしないように、と。自分を冷静に保とうという方が勝っていました。でも、戻って来ることができてとてもうれしかったです。

スケートカナダ女子フリー当日の公式練習に参加したアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

スケートカナダ女子フリー当日の公式練習に参加したアリサ・リュウ(撮影・藤塚大輔)

―あらためてお伺いしますが、なぜ復帰を決めたのですか

競技に対するモチベーションを取り戻すためです。それから、もう1度経験することが必要だと思ったからです。競技がどのようなものだったのか、その感覚など全てを忘れてしまっていました。ミラノ五輪のシーズンを前に、もう1度場離れすることが重要だと思いました。

―引退発表後はスケートをする機会はありましたか

実は全くありませんでした。スケート靴を履くこともなく、今年に入るまでは自宅のクローゼットに閉まったままでした。引退してから初めてスケート靴を履いたのは、今年1月です。最後に滑ったのは2022年の7月か8月だったと思うから、それ以来1年半のブランクがあったということです。その間は競技も見ていないです。

北京五輪女子SPで演技するリュウ(2022年2月15日撮影)

北京五輪女子SPで演技するリュウ(2022年2月15日撮影)

―スケートに全く触れなかったのはなぜですか

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。