【壷井達也の言葉】「自分を奮い立たせるための目標」成就の初表彰台 努力の足跡

フィギュアスケート男子の壷井達也(21=シスメックス)が251・52点で3位となり、GPシリーズ自身初の表彰台に立ちました。

前回大会はSPで全てのジャンプで失敗し、シニア転向後の自己最低64・63点で最下位。今大会は全ジャンプで着氷し、リベンジを果たしました。

7日の公式練習、8日のショートプログラム(SP)、9日のフリーを終えての思いを「壷井達也の言葉」としてお届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇11月9日◇東京・代々木第一体育館◇男子フリー


順位選手名SPフリー合計
1鍵山優真105.70194.39300.09
2ダニエル・グラッスル83.01181.84264.85
3壷井達也85.02166.50251.52
4アンドリュー・トルガシェフ84.36162.22246.58
5マッテオ・リッツォ81.79164.77246.56
6三浦佳生102.96137.42240.38
7ジェイソン・ブラウン77.08152.01229.09
8樋渡知樹74.59151.79226.38
9ウラジーミル・リトビンツェフ81.85143.82225.67
10ガブリエレ・フランジパーニ81.33142.49223.82
11マーク・ゴロニツキー77.74138.02215.76
12イム・ジュホン74.31121.74196.05
男子フリーの演技を終え、感情を爆発させる壷井(撮影・河田真司)

男子フリーの演技を終え、感情を爆発させる壷井(撮影・河田真司)

泣きそうでした(笑い)

フリーを終えて テレビへの取材対応

―フリーを終えて、気持ちを教えてください

そうですね。本当に練習してきたことが、しっかりと本番でいつも通りにできて、本当にうれしかったなと思います。

表彰式後、記念撮影に臨む壷井(撮影・河田真司)

表彰式後、記念撮影に臨む壷井(撮影・河田真司)

―情熱にあふれた演技でした

そうですね。特に最後のコレオのところなんかは「倒れてもいいや」っていう感じで全てを出し切って、ショート、フリー、自分が納得いく演技がこうやってできたのは、本当にうれしいです。

―3位で迎えたフリー。リンクに上がる時は、どのように気持ちを整えましたか

そうですね。結果のことは「表彰台を目指す」というふうに言ってきましたけど、フリーの前は自分の中でなるべく結果は意識せずに、とにかく練習で積み重ねてきたものを、そのまま出すっていう気持ちで臨みました。

表彰式後、笑顔で記念撮影に臨む男子フリー優勝の鍵山(左)と3位の壷井(撮影・河田真司)

表彰式後、笑顔で記念撮影に臨む男子フリー優勝の鍵山(左)と3位の壷井(撮影・河田真司)

―中野コーチ、グレアムコーチには、どのような言葉で送り出されましたか

「練習頑張ってきたから、絶対にできるよ」って言われて、その言葉を信じて、スタートポジションに立ちました。

―序盤2本の4回転ジャンプをクリーンに降りた時の気持ちを教えてください

そうですね。やっぱり最初の4回転2本がすごく鍵になってくるとは自分自身も感じていましたし、そこをまずは降りることができて、その流れを切らさないまま、勢いよくその後のジャンプにつなげられたかなと思います。

男子フリーで演技を披露する壷井(撮影・河田真司)

男子フリーで演技を披露する壷井(撮影・河田真司)

―点数は166・50点。どう捉えていますか

そうですね。完璧にやりきったということで、自分自身もう少し上の点数で欲しかったな、というところはあったんですけど、あとでジャッジシートを見たらどこで落としているか分かると思うので、まずは自分が思い描くような演技ができたのが本当にうれしいです。

―昨季に続いての出場。今回のNHK杯はどのような大会になりましたか

そうですね。やっぱり去年すごく悔しいまま終わってしまった試合だったので「今年は絶対にリベンジするぞ」という気持ちで臨んで、リベンジを果たすことができたんじゃないかなと思います。ただ、もっと上にいくためには、4回転の本数だったり、その他の部分だったり、質を高めないといけないと感じることができる試合でした。

―全日本選手権が控えていますが、どのようにつなげていきますか

そうですね。まずはNHK杯のショート、フリーで大きなミスなく演技をすることができたので、全日本ではこれ以上のクオリティーの演技ができるように頑張っていきたいと思います。

ペン記者への取材対応

―大歓声をどのように聞きましたか

いやぁ…最高でしたね。本当にプログラムが終わった瞬間に、泣きそうでした(笑い)。

―5年前の全日本選手権、この会場で棄権がありました。それを振り返って、今日、同じ会場で演技ができたことをどう思いますか

そうですね。5年っていうすごく長い年月をへて、ここに戻ってきましたけど、受験で一時期スケートから離れたり、神戸クラブに移ったり、本当にいろいろなことがあったと思います。でもやっぱり、あの時にケガをして、あの時はすごく出場できなくてつらかった部分もあったんですが、そこから諦めずにスケートに向き合って努力し続けてきて「本当に良かったな」と思える試合でした。

―SP、フリーで自分の殻を破れたのは、どういう部分が良かったですか

そうですね。やっぱり去年の悔しさがあって、そこの経験を今回生かすことができたかなと思います。

―昨日、坂本花織選手が2人で貸し切り練習をしている時に、ほとんど壷井選手が曲をかけていた、と言っていました。どのぐらい練習やっていましたか

そうですね、詳しくはかおちゃんに聞いてほしいですけど(笑い)。あとはそうですね、フリーは本当に1回通すだけでも結構体にくる部分があるんですけど、その中でも「もうできない」というところから、何回も曲を入れて、自分の限界を超えるような努力をしてきたつもりです。

―曲かけは1日最高で何回しましたか

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。