【貴景勝の引退会見全文】「それは死ぬまで修行だと思います」武士道精神を貫いた力士人生

元大関貴景勝(28=常盤山)が9月21日、東京・両国国技館で引退会見を行った。

突き押しを武器に土俵を沸かせた10年間の力士人生。

引退の決断に至った経緯や、届かなかった横綱への思いなど、貴景勝の言葉をそのまま、記者会見全文を掲載します。

大相撲

引退会見を終え花束を手に師匠の常盤山親方(右)と記念撮影に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

引退会見を終え花束を手に師匠の常盤山親方(右)と記念撮影に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

西岩親方(元関脇若の里) ただいまより貴景勝引退、年寄湊川襲名会見を行います。まず初めに師匠常盤山より、ごあいさつがあります。

常盤山親方(元小結隆三杉) 皆さまお疲れさまでございます。場所中の大変お忙しい中、たくさんの方にお集まりいただいて、本当にありがとうございます。貴景勝、本日をもちまして、引退させていただくことになりました。これから湊川を襲名いたしまして、この相撲協会でまた1年生として、始まりますので。また皆さまにはいろいろとお世話になることもありますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

西岩親方 続きまして、貴景勝改め湊川より、ごあいさつがあります。

貴景勝 私貴景勝は現役を引退し、年寄湊川として、後進の育成に精進してまいります。現役中はたくさんの人に応援していただきました。ありがとうございました。

西岩親方 それでは代表質問にはいります。

貴景勝の引退会見には大勢の報道陣が詰め掛けた(撮影・小沢裕)

貴景勝の引退会見には大勢の報道陣が詰め掛けた(撮影・小沢裕)

―大関、本当にお疲れさまでした。引退を決められて、いまどんな思いでいらっしゃいますか

貴景勝 燃え尽きました。

―どのような思いで引退を決意されたのでしょうか

貴景勝 小学校3年生から相撲、横綱になることだけを夢見て頑張ってきたんですけど。横綱を目指す体力と気力がなくなったので、引退しました。

―けがで大関はずっと苦しんでこられましたが、現役時代はけがのことは一切口にされませんでした。けがの状態はどういう状況だったんでしょうか

貴景勝 うん。けがあっての自分なので、けがも合わせた自分の実力なので。そこで力をだせなかったということは、もう終わりだなと思いました。

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

―一番苦しかったのは首のけがですか

貴景勝 好きなことを。自分が目指すべき職業につかせてもらって、つらいという感覚はあまりなかったんですけど、もどかしいという気持ちはありました。

―もどかしいは思った相撲が取れない

貴景勝 若い頃から100%の準備をして、いままで場所に臨めたのですが、ここ最近は自分が大事にしていた準備とか、戦う前にやるべきことがしたくてもできなかったこともあったので。その辺は少しもどかしい気持ちがありました。

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

―最終的に決意したのはいつですか

貴景勝 11日目の夜に師匠のほうに「引退させてください」と言いに行かせていただきました。

―途中に休場して、11日目まで葛藤がありましたか

貴景勝 いや、もう心の中ではもう決まっていた部分があるんですけど、もう1度冷静になって、自分を考えてみたり、振り返る時間が少しほしかったので、11日目の夜という日になりました。

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

引退会見に臨む貴景勝(撮影・小沢裕)

―大関は28歳で若い大関でしたけど、もう1度ケガを治してという考えはなかったですか

貴景勝 そうですね。年齢で相撲をとっていたわけではないので。自分が目指すものに対しての体力と気力がなくなったので、そこはもう自分の引き時だなと思いました。

―埼玉栄を卒業して、大相撲の世界に飛び込んで10年ですけれども、振り返ってどんな土俵人生でしたか

貴景勝 まあ、あの。9歳から相撲を始めた時に、横綱になることだけ、それだけを考えてきたんですけど、手をいっぱいに伸ばしたんですけど、届きませんでした。

大関昇進の伝達式で口上を述べる貴景勝(左)(2019年3月27日撮影)

大関昇進の伝達式で口上を述べる貴景勝(左)(2019年3月27日撮影)

―大関に昇進する時の口上で大関は「武士道精神を重んじ、相撲道に精進してまいります」と、口上をおっしゃりましたけど、大関にとって相撲道はどういうものだったんでしょうか

貴景勝 神事であるので、勝っても負けても淡々と。勝っても喜ばない、負けてもくよくよしない。気持ちを一定に保つことだけ考えてやってきました。

―最後までそれは貫けましたか

貴景勝 それは死ぬまで修行だと思います。

―10年間、土俵人生、悔いはないですか

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