【150秒の青春】日体大VORTEX~Last Cheerにかける8人の物語

チアリーディングの大学日本一を決める学生選手権大会(インカレ)が12月21日に高崎アリーナ(群馬)で開幕する。創部40周年での優勝を目指すのが日体大VORTEX。4年生はこの大会を最後にチア人生に別れを告げる人もいる。「Last Cheer」と題して、選手それぞれの物語を描きます。

その他スポーツ

【150秒にかける青春】一覧はこちらから

~毎週火曜掲載のチアマガジン~

学生選手権、1月末の全日本中学・高校選手権も掲載!

季節は秋から冬へと移り変わった。

今夏のジャパンカップで、日体大は自由演技競技ディビジョン1で準優勝。

4年生にとっては、大学最後の演技となる学生選手権に向け、仕上げの段階に入りつつある。

この大会が終われば、チア人生に別れを告げる選手がたくさんいる。

幼い頃から華やかなチアリーダーに憧れ、大学では日本一を目標にして努力を重ねてきた。

流した汗は計り知れない。

流した涙も、たくさんあった。

授業の合間に時間をとってもらい、選手8人にリモートで取材をさせてもらった。

途中で言葉を詰まらせる選手がいた。

これが、仲間との最後の「150秒」になる。

それを思うと、涙があふれ出てきたのだろう。

時にはぶつかることもあった。

ある選手は、もうダメだ、逃げ出したい。そう思って、幼い頃から続けてきたチアを辞めようとしたことがあった。

そんな時に声をかけてくれた仲間がいた。

真剣に向き合ってくれたから、今がある。

大舞台で見せる2分半は、美しき努力の結晶。

その何百倍も、いや、何千倍もの時間を、その一瞬の演技のために費やしてきたのだ。

最後は笑って終わりたい-。

それが、全員の願いだった。

これまで、たくさんの悔し涙を流してきたから。

引退する4年生のために。

この演技を最後に、チアから卒業する人のために。

最高に美しく、最高の演技を-。

今、明かされる思い。

それぞれのストーリーを描く。

本文残り89% (5134文字/5766文字)

編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。