辰吉寿以輝の現在地〈22〉父丈一郎に聞く「とってないから。始まりよ、始まり」

平成のカリスマ、丈一郎(54)を父に持つ辰吉寿以輝(28=大阪帝拳)。

日本初の親子世界王者につながる道を一途に歩みます。

プロ10年目の初タイトル挑戦が間近に迫りました。

12月12日、東洋太平洋スーパーバンタム級王者中嶋一輝(31=大橋)に挑みます。

プロ4戦目で日本タイトルを獲得した父丈一郎は、何を思っているでしょうか。

寿以輝のこと、24年前の日本タイトル戦のこと、そして練習を続ける理由。

今も変わらない「辰吉節」をお届けします。

バトル

辰吉丈一郎は練習に備えてシューズを履く(撮影・益田一弘)=2024年11月29日、大阪帝拳ジム

辰吉丈一郎は練習に備えてシューズを履く(撮影・益田一弘)=2024年11月29日、大阪帝拳ジム

「気持ち悪いやん。寿以輝でええやん」

11月29日、午後7時前、大阪帝拳ジム。

エレベーターを3階で降りると、丈一郎が先について待っていた。

「何でうちのほうが先にきてんねん」。

待たせてしまったことをわびてから「練習後に取材でいいですか?」と尋ねる。

「もうええよ、聞きたいことがあるなら、聞いてええよ」

丈一郎らしく、立ち話の形で取材はスタートした。

プロ10年目で初のタイトル戦に向かう寿以輝。

父はプロ4戦目で日本バンタム級王座、プロ8戦目でWBC世界バンタム級王座を獲得した。

対照的なキャリアを歩む次男を、父はどう見ているのか。

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スポーツ

益田一弘Kazuhiro Masuda

Hiroshima

広島市生まれ。2000年の入社からバトル、相撲、サッカー、野球を担当して、13年からオリンピック担当。
14年ソチ、16年リオデジャネイロを取材して、18年平昌、21年東京は五輪班キャップを務める。東京五輪後に一般スポーツデスク。
大学時代はボクシング部で全日本選手権出場も初戦敗退。アマチュア戦績は21勝(17KO)8敗。