前半に南野はピッチにいた？　後半から入った鎌田はいたの？　オレの目には、彼らの姿が映らなかったね。相手は5バックのダブルボランチで、守備に重点を置いて臨んできた。中央に人数が多く、南野も鎌田も消えた。ボランチと絡むなど、工夫が必要だったね。

日本は守備を固めた相手に対して、何とかサイドで崩そうとした。右から堂安と久保が、何度もポジションを入れ替えながら、活路を見いだそうとした。でも相手も人数を掛けて対応してきたため、詰まってしまった。中央攻撃を織り交ぜていたら、サイド攻撃が生きたはずだよ。

日本は相手のオウンゴール（O･G）で、かろうじて引き分けた。三笘がボールのないところで相手をブロックして、中村が左サイドを抜け出した。日本の得点になったが「VARで得点は消されるな」と思った。だって、三笘が相手に体をぶつけて守備を妨害したからね。でもゴールが認められたね。ラッキーだった。良かったよ。

ある程度、実力のある相手が、攻撃をあきらめてまで守り倒してきたら、ゴールを開けることはなかなか難しい。アジア杯でもそうだったが、アジアではよくあることだ。でも幸い、この展開はW杯ではめったに起きないから大丈夫かな。日本に対して、どのチームも勝ちに来るからね。その展開は、逆に日本にはチャンスだから。今回はホームで引き分けて、勝ち点2を失ったが、まあ許容範囲かな。

1－1になって、日本はさらに攻撃を仕掛けたが、サイドの縦突破だけだった。右から伊東、左から中村と三笘が縦に走ってクロスを上げるだけ。オレの目には「焦り」にしか見えなかった。もっと工夫しようよ。今の日本代表は、もっと多彩な攻撃ができるはずだよ。自分たちの能力を、もっとフルに出し切ってほしいね。

失点場面は、今後に向けて大きな教訓を残したはずだ。谷口のミスでO･Gで先制点を与えた。でもその前のプレーが気になったね。サイドでクロスを上げた相手がフリーだった。本来なら、三笘が下がって相手のクロスを防がないといけなかった。攻撃的に戦った際の3バックの欠点でもあるが、ウイングバックがアグレッシブに戻って守備参加しないと、相手をサイドでフリーにさせてしまう。三笘は勉強になったんじゃないのかな。

（日刊スポーツ評論家）