<サッカーaiコラム:選手権のHEROたち>

 5日の準々決勝で神村学園(鹿児島)を4-0で破り、過去最高タイのベスト4入りを決めた青森山田(青森)。高校総体では2回戦で1-1(PK4-5)で敗れていただけに、同じ相手に2度も負けることは絶対にできないとリベンジに燃えていました。なかでもこの一戦にかける思いが強かったのがMF遠藤竜史。高校総体では後半開始直後に2枚目のイエローで退場し、チームはその後10人での戦いを強いられ、遠藤は「自分が退場したせいで負けてしまった」と、2回戦敗退の責任を感じていました。いつも以上に気合を入れて臨んだこの一戦、80分間集中を切らすことなくプレー。「どうしてもこの試合に勝ちたかった。勝てて、国立を決められて本当にうれしいです」と試合後は会心の笑顔を見せていました。

 遠藤は高2の冬、「サッカーをやることがつらくて」と、1カ月間サッカー部から離れていた時期がありました。高校総体でメンバー入りしながらも、その後、高円宮杯でメンバー落ち。サッカーをやっている意味がわからなくなり、退部しようとまで悩みました。そんなとき助けてくれたのは、苦楽を共にした仲間たちの存在。キャプテンのMF椎名からは「早く戻ってこい。オレらはお前を待っているんだから」と声をかけられました。そして再び、サッカーへの情熱を取り戻したのです。

 「やめなくて本当に良かったです」

 神村学園戦後、ホッとした表情を見せた遠藤。しかし、すぐに気を引き締め直し、その目はすでに次戦へと向けられていました。

 「得意のドリブルで、勝利に貢献します!」。

 夢の舞台国立で仲間を信じ、そして自分を信じ、決勝進出を決めます。(サッカーai編集部・石井宏美)