<サッカーaiコラム:選手権のHEROたち>
9日の準決勝まで勝ち進んだ初出場の山梨学院大付。6日は休養にあて、7日はリラックスしたムードで、1時間半ほどのトレーニングに励みました。
横森巧監督の「今日はリラックスした雰囲気で調整できれば」という言葉通り、練習中は終始選手たちの笑い声がグラウンドに響いていました。しかし、最後のシュート練習のときには、「しっかり集中してプレーしている選手がいた。この大会で成長して1つ上の段階に進んだのかな」と横森監督も指摘する通り、リラックスした雰囲気の中にも緊張感を持って練習に取り組む姿が。このオンとオフの切り替えの速さは、山梨学院の攻守の切り替えの速いサッカーにも通じるものがあるのかも知れません。
この日のインタビューで、ここまで勝ち進んだ要因として横森監督が挙げたのが「決定的なエースはいないので、1人ひとりがゴールを狙うという意識を持ってプレーしている。みんながゴールを目指すという共通の気持ちを持っているのが大きい。それにここまで両SBが割と安定した守備を見せてくれている。最終ラインの4人に加えて、ボランチの宮本龍がうまく守備の面で機能している」という2つのポイント。
攻撃面はエースのFW加部未蘭がケガで途中出場が続いていますが、それを補うべく7人で8得点を上げています。FW伊東拓弥は「僕は裏に抜けるプレーが得意。ボランチの碓井がボールを持ったときは、必ず来ると信じて走るだけです。ここまで来るとは正直思っていなかったけど、自分たちのサッカーが出来れば準決勝でもいい戦いができると思っています」と自信あり。
守備の面ではDF井上拓臣が「選手権では失点が少ないのですが(4試合で失点は野洲戦の2点のみ)、何か特別なことがあったから、結果が出ているわけではないと思います。大会前までは、勝った試合でも無失点で抑えられた試合なんてなかった。大会の中でみんなの意識が1つになって、これまでやってきたことがいい形になって表れているのかも知れません」と分析。
井上は選手権県予選から、それまでのボランチから右SBに抜擢されたばかり。それまでの山梨学院の右SBは選手が固定されず、試行錯誤が続いていました。慣れないポジションにも「与えられた限りはしっかりこなさないと」不安はありません。「とにかくしんどいポジションですけど、ボランチと違ってフリーでボールを持つ回数が多いのがサイドバックのいいところ。『こいつらにはオレが必要なんだ!!』と信じて、最後まで走ります!」と力強く話してくれました。
練習の締めには横森監督から「明日は練習の後にすぐに移動するので、今日のうちに準備だけはしっかりしておこう。忘れ物をして慌てるのはもったいない。時間をかけてじっくり準備して」と短く話があった後、最後に「堂々と胸を張ってやろう」と一言。選手たちが力強くうなずき、この日の練習はいいムードで終了となりました。横森監督にとっては26年ぶりの国立。「国立に立つというのはいつでも新鮮。もう四半世紀も前のことですが(笑)、あのときも新鮮でしたけど、今回も新鮮な気持ちで戦いたいと思います」。
山梨県代表の初優勝を目指し、まずは準決勝の勝利を狙います。(サッカーai編集部・阿部菜美子)