高校選手権は9日、国立競技場で準決勝2試合が行われる。初の4強で勢いに乗る矢板中央は、地元名産になぞらえた「ギョーザプレス」で、山梨学院大付のボランチを封じる狙い。自慢の運動量で、相手攻撃の起点を2、3人で包みこみ、関東王者を食って決勝に進む。

 包んで包んで、包みまくれ!

 矢板中央(栃木)は栃木県内で行われた8日の練習で、相手のボランチを2、3人の守備陣で包囲する形を繰り返し確認した。高橋健二監督(41)は「相手は中盤に展開力ある選手がそろっている。組織的な守備で対抗したい」と包み隠さず意図を説明。これを受けてMF益子直(3年)は「ギョーザのように包み込む、ってことですね」と皮で具を包む手つきでうなずいた。

 栃木勢の切り札戦術だ。総務省統計局の調査によると栃木県は、県庁所在地の宇都宮市が家庭のギョーザ購入額で08年度日本一。スタミナフードに包まれて育った形の矢板中央イレブンは、大会直前の厳しい走り込みで、ベールに包まれていた持久力が一気に開花した。「常に2、3人がかりでプレスをかけるには、相当運動量が必要だけど、その点は自信がある」と益子直は言い切る。

 昨春に関東大会を制した山梨学院大付はMF碓井だけでなく、精度が高い右足クロスが武器のMF平塚、並外れたスピードのFW加部ら、U-18日本代表候補3人をそろえる。ギョーザの具で言えば、強い個性を主張するニラやショウガ、ニンニクのような強敵だ。彼らをしっかりギョーザプレスで包み込み、矢板中央が大会屈指の技巧派軍団をおいしく食べ尽くす。【塩畑大輔】