<高校サッカー:青森山田2-2(PK3-2)関大一>◇準決勝◇9日◇国立
青森山田(青森)は、関大一(大阪)に2点差を詰められたが、PK戦を制した。決勝戦は11日、国立競技場で行われる。
読み切っていた。関大一の5人目、MF梅鉢が右に蹴った球を青森山田GK櫛引政が横っ跳び。5人中3人のPKをはじき返して前方宙返りで喜ぶと、駆け寄る仲間の歓喜の渦に吸い込まれた。関大一のPK戦をビデオで研究し、昨夏の高校総体2回戦で神村学園にPK戦で敗れた後は、湯田GKコーチと特訓。07年度に流通経大柏で優勝に貢献した男の教えを守った櫛引政は「助走や肩の位置を見ればコースが読める」と胸を張った。
2-0の後半44分からPK戦に持ち込まれたが、黒田監督は勝利を疑わなかった。長女妃李ちゃん(9)の手紙を験担ぎで握り締め「ここで負けたら、9年前の4強敗退から何も学んでいない」。雪国の粘り強さがある。冬は雪中でミニゲーム、負けたチームが腰の高さまで積もる雪をかき分け、新雪の野球場を走る。これを30セットほど繰り返し足腰を鍛え、夏場はバスで全国行脚。本州最北端で練習相手が見つからないため、走行距離は1カ月で4万キロを超える。ハンディが自信の源だ。
4強の壁を打ち破り、県勢初の決勝進出。U-17W杯代表MF柴崎は「地元の方に、優勝して笑う姿を見せたい」と言った。青森山田イレブンは、優勝旗を大会史上最北の地に運ぶことしか考えていない。【木下淳】