かつて初出場初優勝した東海大一は、DF大嶽、MF沢登、サントスらスター選手ぞろいの優勝候補だった。しかし、今大会の山梨学院大付は違った。優勝経験校が早々と姿を消した波乱の大会を制したのは立派だが、決して強烈な印象を残したわけではなかった。
今年の正月は、大阪のラグビーと東京のサッカーで高校スポーツざんまいだった。ラグビーの決勝は代表のカーワン監督が熱心にメモをとるほどレベルが高く、好選手ぞろいだった。サッカーU-17代表が大会に3人だけだったのに対し、ラグビーは決勝戦だけで5人。競技性の違いもあるから単純比較は意味がないとも思うが、高校選手権のレベルが低いのは間違いない。
ただ、選手個々のレベルが低いかと言われれば、そうでもない。Jクラブのジュニアユース出身の選手も多く、きちんと指導を受けている。パス回しはきれいだし、判断もいい。ただ、プレーは分かりやすく、強烈な個性は見えない。
MFに優秀な選手が集まるのは日本代表と同じ。ただ、代表と同じくFWとDFは人材不足だ。うまい選手はいても、強く、迫力のある選手は少ない。日本の育成システムは優秀だが、型にとらわれていては規格外の選手は出にくいということだろう。常識をぶち破る大型選手は、高校の部活でこそ育つと思うが。【荻島弘一】