高校サッカーは8日、国立へ舞台を移し準決勝2試合が行われる。3年ぶり2度目の優勝を目指す流通経大柏(千葉)に「トイレの神様」が舞い降りるか-。3回戦前橋育英戦で先制点を決めたMF進藤誠司(3年)は、入学以来3年間、毎日のように部室のトイレを磨いてきた。昨年ブレークし、大みそかの紅白歌合戦でも再び注目を集めた植村花菜の「トイレの神様」にあやかり、国立での活躍を目指す。
トイレを磨くことで、自分自身も磨いてきた。進藤は、1年生の時に「トイレ係」に割り当てられた。以来3年間ほぼ毎日、掃除を欠かさない。練習グラウンドにある部室脇の計5つのトイレを、きれいに保つことが役目だ。「気付いたら掃除しています。掃除すると気持ちがいいし、自分が見つめられます」と、笑顔で話した。
神様は、頑張る姿をしっかり見ている。初戦の2回戦から3試合すべてフル出場中。3回戦の前橋育英戦では、神様が舞い降りた。相手は浦和入団が内定のMF小島秀仁(3年)中心の強豪。進藤は正確なポジショニングから前半7分、ゴール前での相手のミスを見逃さず先制点をマークし、PK戦の末に振り切った。
3年になり、チームに9人いるトイレ係の責任者も務める。「上になって責任感が出てきました。トイレが汚いのは連帯責任だし、それは試合も同じ。つながるものがあります」。
チームは6日、試合2日前にもかかわらず、本田監督が「泊まり慣れていない高級ホテルに慣れるため」との考えで、都内のホテルへ移動。準決勝に向け、万全の態勢で臨む。「目標は優勝です。個人的にはチームに貢献できればいい」。進藤はホテルの部屋のトイレを磨き、心を落ち着けて国立に挑む。【保坂恭子】