日本代表DF長友佑都(24=チェゼーナ)が、新兵器の「無回転ミドル弾」で香川不在のピンチを救う。日本の誇る左サイドバックは26日にドーハ市内で行われた練習後「今、実は無回転とカーブの2種類のシュートを練習しているんですよ」と明かした。

 無回転ミドル弾の強烈な威力を見せたシーンがあった。25日の準決勝韓国戦の延長後半4分。左サイドでボールを持った長友が中に切れ込み右足を一閃(いっせん)。無回転で不規則に揺れたミドルシュートは、わずかに韓国ゴールをそれていった。

 長友

 サイドで勝負する時にドリブル突破だけだと、どうしてもワンパターンになる。W杯では相手のことばかり研究していたけど、ここ(アジア杯)では逆に相手に自分が研究される立場。ミドルシュートがあれば、自分の引き出しを増やすことができますから。

 南アフリカW杯、セリエAチェゼーナ移籍を経て、今やアジアでもトップクラスの左サイドバックに上り詰めた。アジア杯では敵国に入念に研究されていることを実感。「ミドルシュートがあれば、逆に突破も生きると思う」とオプションの必要性を強く感じた。

 今大会、日本の左サイドからの攻撃を支えた「相棒」香川が故障離脱した。オーストラリア戦に向け「(本田)圭佑、香川と3人で左サイドを崩したい」と話していただけに、香川の胸に秘めた悔しさは理解している。香川の分も自分が左サイドを支える覚悟だ。

 「韓国戦の2日前に圭佑と、もっと攻撃の緩急をつけようという話をした。自分自身も最初と比べたら体のキレは出てきた。激しい試合をしてきたから」。鋭い突破に、新兵器の無回転ミドルを加えた長友が、左サイドから2大会ぶりのアジア制覇に貢献する。【菅家大輔】