【ドーハ(カタール)=28日】日本代表アルベルト・ザッケローニ監督(57)が「必殺CK」を用意したことが分かった。日本(FIFAランク29位)は今日29日(日本時間30日午前0時)オーストラリア(同26位)と、アジア杯決勝を戦う。戦術確認を主とする試合2日前(27日)の非公開練習で、DF吉田麻也(22=VVVフェンロ)が頭で落としたボールからミドルシュートを狙う、トリッキーなCK練習を繰り返したことが判明。フィジカルで勝る相手に知力で対抗し、2大会ぶりにアジア杯を取り返す。
警備員は見た!
日本は、主に戦術を確認する試合2日前の練習で、報道陣を完全シャットアウトし、入念にセットプレーを確認。ザッケローニ監督の指導で、いくつかの必殺パターンが繰り返された。
警備員
一番背の高い選手(吉田)がボールを頭で落として、(ペナルティー)ボックスの外からどんどんシュートを打っていたよ。長い時間、同じ練習をしていたね。
ショートコーナーからのクロスを吉田が、相手ゴールの反対側に頭で落とし、待機している選手がそのボールに合わせて走り込んでミドルを決める-。CKのこぼれ球に反応してミドルを決めることはあっても、戦術として持ち込むのは初めて。非公開だっただけに、作戦の軸となる吉田は「ショートコーナーをやりました。相手は高さがあるので、ひと工夫しないとゴールは決められない」と、抽象的な言い方に終始した。
オーストラリアは195センチのDFオグネノブスキを筆頭に高さがあり、単純にゴール前にCKを上げても、頭ではね返されるだけ。逆にカウンターの起点になる危険性もある。この「必殺CK」は、屈強なオーストラリア用として、ザッケローニ監督が温めてきたものだ。このCK以外にも、いくつかのトリッキーなパターンがあり、あの手この手で屈強な守備網をかき回さないと、セットプレーで崩すのは難しい。日本は正確なキッカーが多く、連係プレーを得意とするため、はまれば得点に直結する。
ザッケローニ監督は、ドーハ入り後、いくつかの攻撃パターンを練習している。そのひとつがサイド攻撃で、準決勝・韓国戦の香川→本田圭→長友→前田が合作した1点目は、まさに練習のたまものだった。同監督は「天皇杯があって、選手はコンディションがバラバラだった。一気にフィジカルを上げることは難しいが、戦術なら短期間で結果が出せる。日本は私がやろうとお願いしたことをピッチ上で実践する技術がある」と、日本の可能性を高く評価した。
韓国戦後にMF香川が骨折で離脱した。体格の大きい選手が並ぶドイツで結果を出していただけに、オーストラリア戦への期待は大きかった。同監督は「香川はオーストラリアと対戦する時は絶対に点を取ると思っていたけれど、彼が抜けたのは痛い」と話した。香川の離脱で、流れからの得点確率が下がったこともあり、セットプレーにかける思いは強い。
「必殺CK」は1度実戦で使うと、2度目からは相手に警戒される。1回目の試みで決めることが大前提で、高い集中力が求められる。ザッケローニ監督は「戦術の理解度と技術は以前から持っていて、ここへきてメンタルも強くなった」と選手に絶大な信頼を寄せる。一発必勝。全員の気持ちと想像力を一点に集約させると、アジアの頂点が見えてくる。【盧載鎭】