MF川澄奈穂美(29=INAC神戸)にとって、夕食もサッカーの時間だ。自分たちの試合はもちろん、バルセロナ、Bミュンヘンにも及ぶ。同居人で一緒に試合のDVDを見るMF田中明日菜(27)は「前(川澄)と後ろ(田中)でお互いに意見を言い合う。もっと後ろから押し上げてほしいとか。参考になる」。夕飯時、2人はテレビに向かって横並びで座っている。
昨年9月、レンタル移籍した米女子プロリーグのシアトル・レインから復帰。2カ月後にドイツ1部フランクフルトから復帰した田中と自然と同居。2年前も当時同僚だった韓国人MFチ・ソヨンを加えた3人で共同生活を営んでいた。田中は「生活リズムも一緒。(同居の)相談は全然なかった。普通に『帰るから』という感じ」。
川澄は得意な料理を担当。練習後に2人で食事の買いだしに行く。ご飯、煮込みハンバーグなどメーン料理、サラダ、スープと4品が並ぶ。「マーボー豆腐とか全部がお店よりおいしい。ほぼ外食しないです」と田中。食器洗い、掃除、洗濯が担当の田中が苦手なグリーンピースは出さない。
1日の代表発表。川澄は、1年ぶりに復帰したMF澤が「泣きそう」と言った姿を見た。「澤さんでさえ名前を呼ばれて感動したというし、代表は重いものだと思う」。無尽蔵のスタミナを誇る29歳は、ピッチを離れてもサッカー漬けだ。11年ドイツ大会のシンデレラは、主力として2度目の舞台に臨む。【益田一弘】