FW岩渕真奈(22)の恩人、宇佐美貴史(23=G大阪)は感嘆の声を漏らした。「ほんまにストイック。僕はぶっちー(岩渕)のたくましさをずっと感じていた」。
12年ロンドン五輪で初めて出会った。当時、ドイツのホッフェンハイムに所属していた宇佐美は、岩渕から「ドイツに行くかもしれない。そのときはよろしく」と相談された。翌年1月、岩渕は宇佐美の所属するホッフェンハイムの女子チームに移籍。同い年の女子が1人で挑戦する姿に驚きを覚えた。
岩渕にとって、異国の地で初の1人暮らし。通訳をつけずに、語学学校に通う姿を宇佐美は見ていた。「ぶっちーの学校が僕の家の近くで。車や電車を乗り継いでしか行けない田舎で『不便やからうちに泊まればええやん』って」。宇佐美が日本に帰るまでの約半年間、妻蘭さんと暮らしていた家に岩渕を住まわせ、食事などをサポート。負傷からのリハビリ期間は、蘭さんがジムに付き添った。
一緒に暮らして宇佐美が感化された。岩渕はオフの日も、自主トレ、筋トレが当たり前で「サッカーに対する姿勢、語学を勉強する姿勢。僕は奥さんが支えてくれたけど、ドイツで1人でやって行こうとしていた強い姿勢に刺激を受けた」。昨年から岩渕は宇佐美がかつて所属したバイエルンへ移籍。さらなる飛躍を遂げている。「同い年やけど、妹みたいな感じ。僕が代表でゴールした時も連絡をくれたし、僕もなでしこで一番注目している」。Jリーグを代表する点取り屋のアシストを受けて、岩渕は連覇へ挑戦する。【小杉舞】