なでしこジャパンのMF宮間あや(30=岡山湯郷)が、日本代表からの引退を視野に入れた。2連覇を狙った日本(FIFAランク4位)は決勝で米国(同2位)に敗れて準優勝に終わった。12年にMF澤穂希(36)から主将を引き継いだ宮間は「ゆっくり考えたい」と、近い将来の代表引退の可能性を示唆した。約1カ月の大会を戦い抜いた選手らは今日7日に帰国する予定だ。
試合直後のピッチで涙を流した宮間の表情は、表彰式後には達成感に満ちていた。「後悔はない。自分がやれることは全てやったし、チームのみんなもW杯を取るために努力してきた。仲間を誇りに思います」。身長157センチと小柄な背番号8は、全7試合に先発フル出場して戦い抜いた。
守備が崩壊し、一方的な試合展開となった中、世界基準のキックを生かし2点に絡んだ。0-4の前半27分には右サイドのMF川澄にロングパスを出し、FW大儀見の得点の起点となった。1-4の後半7分には、約40メートル先の澤を目がけてFKを蹴ってオウンゴールを誘発。最優秀選手「ゴールデンボール賞」の受賞はならなかったが、3位の「ブロンズボール賞」を獲得した。
世界大会の出場は03年のW杯から6大会目。来年のリオデジャネイロ五輪、4年後のW杯フランス大会、35歳で迎える20年東京五輪まで主力であり続けられる選手だ。だが、「また優勝を目指す新たな旅が始まったといえるか?」と聞かれ、慎重に言葉を選んだ。
「日本女子代表としてチームとしてはそうだと思う。個人としてのことはゆっくり考えたい。チームって作り上げるのは難しい。東京五輪もありますし、いろんな方向性や選択肢もあると思う。ゆっくりやっていければいいかなと思っています」。
今後の日本代表の強化を見据え、日本代表の活動から退くことも頭にあるようだ。準々決勝に向けた6月25日の練習後「宮間さんも澤さんと同じように最後のW杯の覚悟で戦っているの?」と問うと「今は、もう大会に入ってしまったので、そのことは考えないようにしています。1戦1戦戦い抜くだけ」と話した。
小学生時代から澤に憧れ、背中を追ってきた。高校時代は千葉・大網白里町(現大網白里市)から電車で片道約3時間かけて澤のいた日テレに通った。関係者は「今後について澤選手にも相談しているようです」と言う。来年早々にはリオ五輪アジア最終予選がある。なでしこジャパンに宮間の力が必要なのは間違いないが、「ゆっくり考えた」後の決断次第でどうなるのか。澤と宮間、2人の主将経験者の競演は、今大会限りとなるかもしれない。【鎌田直秀】