<14年9月、仁川アジア大会(韓国)>
手倉森ジャパン2度目の公式大会となった。前回4年前の広州大会で関塚ジャパンが初優勝。勢いに乗って12年ロンドン五輪では4強まで駆け上がっている。大会連覇の期待が膨らむ中で20人のメンバーが招集されたが、直前の千葉・秋津合宿で全日本大学選抜と0-0の引き分け。不安を残したまま大会に突入した。
▼1次リーグ
第1戦(対クウェート)4○1【得点者】大島僚太、鈴木武蔵2、岩波拓也
第2戦(対イラク)1●3【得点者】中島翔哉
第3戦(対ネパール)4○0【得点者】野津田岳人、中島翔哉、鈴木武蔵2
情報に乏しい初戦クウェート戦だったが、キャプテンマークを巻いたMF大島の先制弾などで一蹴した。「敵を食えーと(クウェート?)言った」と代名詞のダジャレで送り出した手倉森監督の期待に応え、エース鈴木も2得点と躍動。及第点の滑り出しとなった。
しかし、第2戦で中東の雄イラクに食われる。13年のU-20(20歳以下)W杯で4強入りするなど、この世代アジア最強とされる相手に3失点。「イラクのメッシ」の異名を取るフマムに先制された。一時は中島弾で追いついた後に「アジアのベール」と大会公式サイトで紹介されたA・アリに2ゴールを許した。1月のU-22アジア選手権・準々決勝で0-1で敗れていた相手に返り討ちされた。
▼決勝トーナメント
1回戦(対パレスチナ)4○0【得点者】遠藤航、鈴木武蔵、荒野拓馬、原川力
準々決勝(対韓国)0●1【得点者】なし
※ベスト8敗退
仕切り直しの1次リーグ第3戦と決勝トーナメント1回戦は危なげなく、それぞれ4-0で完勝した。ここまで鈴木が5得点。あと1点で、66年バンコク大会の釜本邦茂に並ぶ日本人の大会最多得点記録(6点)を樹立する活躍を見せた。
準々決勝。この世代の壁となっている関門で、相手はホスト国の韓国だった。日本は2年後のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選に向けて経験を積むため21歳以下で臨んだが、韓国は地元優勝をかけて23歳以下+オーバーエージ3枠をフル活用。現在はドルトムントのMFパク・チュホら年長者に挑む構図となった。
試合は予想通り? 押される展開になる。体格差と運動量で勝る宿敵。前半を0-0でしのぎ、後半も終盤まで粘った。しかし、残り2分でPKを献上。主将の張に決められた。詰めかけた観衆は約4万3000人。完全アウェーの雰囲気をはね返す力はなかった。
日本人の最多得点記録がかかっていた鈴木は「金メダルを取れば徴兵が免除される韓国に正直ビビッた。気持ちで負けた」と、得点どころかシュート0本に終わった。のちに28年ぶりのアジア大会制覇を果たしたイバルに準々決勝で完敗し、リオ五輪アジア最終予選へ課題を突きつけられた。