米国人実業家トッド・ボーリー氏らのグループが買収したプレミアリーグ・チェルシーが今冬、選手を獲得しまくっている。シャフタル・ドネツクからウクライナ代表FWミハイロ・ムドリクを加入させたのを筆頭に、コートジボワール代表FWフォファナ(前モルデ)、フランス代表DFバディアシル(前モナコ)らを次々にゲット。

さらにクリスタルパレスやトットナムの下部組織で育ち、イングランド年代別代表にも選ばれているFWマドゥエケ(前PSVアイントホーフェン)もチームに加わった。

アトレチコ・マドリードから期限付き移籍したポルトガル代表FWジョアン・フェリックスを除くと、これらの獲得選手には共通点がある。それは長期契約ということだ。ムドリクは31年6月までの8年半、マドゥエケとバディアシルは7年半、フォファナは6年半の契約となっている。

英BBC電子版によると、チェルシーが選手と長期契約を結ぶことには、欧州サッカー連盟(UEFA)が定めるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)のルールに違反しないようにする狙いがあるという。

UEFAは昨年6月、新たなFFPのルールを導入。3年間の許容損失額は6000万ユーロ(約84億円)に上昇したが、クラブの賃金、移籍金、代理人費用への支出が収入の70%に制限されることになった。

選手を獲得するには、前所属クラブとの契約が満了していないかぎり、移籍金が発生する。例えばチェルシーが今回ムドリクを獲得するにあたって、シャフタル・ドネツクに支払う移籍金は7000万ユーロ(約98億円)+出来高だ。

ただ今季の支出を計上する際、移籍金は契約年数で償却される。すなわちムドリクの移籍金7000万ユーロを8・5年で割ったものが年度別の支出となるのだ。BBCはチェルシーが単年の支出額を低く抑えるために選手と長期契約を結んでいるとみている。

ただこの動きにUEFAも反応。また新たにルールが改正されることになった。今年の夏から移籍金の支出を分割できるのは5年までになるという。この規則は夏から施行され、過去にさかのぼって適用されることはないという。そんなこともあり、チェルシーはできるだけ多くの選手の長期契約での獲得を急いでいるのかもしれない!?

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)