<欧州選手権展望:スペイン-イタリア>◇決勝◇1日◇ウクライナ・キエフ
前回大会覇者で10年W杯制覇の現王者スペインと、W杯は06年など4回優勝、本大会では68年大会以来44年ぶりの優勝で復権したいイタリアの対決。意外にも本大会、W杯ともに準決勝以降での対戦は初めてになる。今大会では1次リーグ初戦で対戦して1-1で引き分けた。その前の公式戦は前回大会の準々決勝で、PK戦の末にスペインが勝ち進んでいる。
今大会の戦いぶりからは、安定感のスペインと勢いのイタリアという構図とみられている。
スペインは自慢のパスワークからボール保持率が高く、すべての試合で主導権を握り、大会を通じてわずか1失点。MFイニエスタ、MFシャビからボールを奪うのは極めて難しく、この2人を中心として攻める形はこの4年間変わっていない。中盤があうんの呼吸で動き、相手の攻撃の芽を摘むMFブスケツの働きも大きい。
問題は前線で、準決勝ではFWネグレドを今大会初先発させたが、あまり機能しなかった。初戦ではMF登録の選手を並べる「ゼロトップ」で周囲を驚かせ、FWフェルナンドトレスは2戦目アイルランド戦で先発して2得点も、その後が続かなかった。
対するイタリアはFWバロテリが準決勝ドイツ戦で2得点を挙げ、気分をよくしている。身体能力の高さを武器に「規格外」のプレーで、そこまで順調に勝ち上がってきたドイツを沈めた。感情的になると警告まがいの「暴発」の懸念もあるが、チームメートの支えもあって、抑えられているようだ。この試合ではFWカッサーノも好プレーをしており、バロテリは「我々はスペインと同等に、もしくはそれより強いかもしれない」と自信のコメントだ。
スペインのデルボスケ監督はバロテリと同時に、円熟のプレーで攻撃のタクトを振るう司令塔MFピルロを警戒している。
イタリアは守備では初戦のスペイン戦は3バックで対応した。再び3バックで中盤を厚くするか、サイドからの攻撃を仕掛けるべく4バックで挑むか、DF陣の故障など台所事情プラス駆け引きも興味深い。
両軍とも積極的に攻めるだろうが、スペインはカシリャス、イタリアはブフォンと経験豊かな守護神がおり、締まった試合が期待できそうだ。