欧州選手権は1日(日本時間2日早朝)、ウクライナ・キエフで決勝戦を迎える。世界王者スペインに挑むイタリアは“問題児”FWマリオ・バロテリ(21)が準決勝のドイツ戦で2ゴールを挙げるなど“優等生”へ大変身。決勝戦には育ての両親も訪れる予定で、家族の声援を背に、イタリアに2度目の欧州王者のタイトルをもたらすつもりだ。
イタリアFWバロテリは、2ゴールでチームを勝利に導いたドイツ戦後、観戦に来ていた養母のシルビアさんに抱きついた。ガゼッタ・デロ・スポルト紙によると、シルビアさんは「普段、人前で私に抱きつくことなどないのに、よほどうれしかったのでしょう。泣いていました。そしてそっと『キエフにはパパも連れてきてくれ』と言ったのです」と話したという。
ドイツ戦では養父フランコさんはスタンドにはいなかった。だがシルビアさんにホワイトチョコレートを託していた。バロテリが子供のころ、ボーイスカウトから帰り、サッカーの練習へ行く前に、疲労回復のために好んで食べたチョコレートだった。そして決勝ではフランコさんもバロテリへ精いっぱいの声援を送る予定だ。
決勝のカードはくしくも1次リーグC組開幕戦と同じカードとなった。あらゆるスポーツの結果をコンピューター解析する米「アキュスコア社」の分析では、1万回のシミュレーションの結果、58%の確率でスペインの勝利と予想された。それは42%の確率でイタリアの番狂わせが起きるという意味でもある。
実は、同社コンピューターは、決勝で最も得点する可能性がある選手についても、予想をはじき出していた。その選手の名は、「決勝には父も来る。絶対に得点したい」と話すバロテリだ。(波平千種通信員)