[ 2014年2月18日8時20分
紙面から ]<ソチ五輪・アイスホッケー:日本3-6ロシア>◇16日◇1次リーグ
FW久保英恵(31=西武)が執念のプレーを見せた。第3P(ピリオド)にロシアの選手と接触して古傷の右肩を負傷しながら強行出場。地元ロシアに敗れて4連敗となったが、1度引退しながら五輪を目指して復帰したベテランは、最終戦となる18日の7、8位決定戦(対ドイツ)での巻き返しを誓った。
第3P開始早々に久保が氷上にはいつくばった。昨年12月に右肩鎖関節脱臼した場所に激痛が走り、顔をゆがめながらやっとの思いでベンチへ戻った。痛みを痛み止めで抑えると飯塚監督から「行けるか」と聞かれ、「行きます」と即答。気力でリンクに戻った。
女子サッカーの澤穂希のような存在だ。02年ソルトレークシティー予選から五輪に挑戦も、10年春に一時引退。11年夏、女子サッカーのW杯決勝で澤の同点ゴールを見て「大舞台で結果を残す選手に」と12年1月に現役復帰した。東京・東伏見のスケートリンクの受付で時給900円のアルバイトをしながら夢を追い求めた。昨年2月の最終予選で五輪を決めると、金銭面で援助をしてくれた両親から「ありがとう」と言われた。一緒に戦ってくれたことを実感し涙があふれた。
ロシア戦ではパス回し、シュートの精度、個人技と差を見せつけられた。残りは18日の7、8位決定戦。「最後の試合。自分たちのプレーを100%以上出したい」。痛みに耐えてリンクに立つ。【田口潤】