[ 2014年2月12日10時27分 ]4位に終わった高梨(中央)は報道陣の中を引き揚げる(撮影・井上学)<ソチ五輪:ジャンプ>◇11日◇女子ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)
今まで支えてくれた人たちに、感謝を伝えたいと臨んだ五輪だった。経験したことのない独特の雰囲気、金メダルを期待されるプレッシャー。「どこか違うところがあるなと感じた」「納得いくジャンプができず、すごく残念」。実力を出し切れずメダルを逃した高梨沙羅選手(17)は涙を流し、また五輪に戻ってくることを誓った。
前日、山田いずみコーチ(35)と「少しのミスは気にせず飛んでいこう」と話し合った高梨選手。日の丸をあしらった白いヘルメットに黒いジャンプスーツ姿で、1回目は出場選手30人の最後に登場した。
「やることは一緒」。いつもと変わらず、平常心を保って挑んだつもりだったが、持ち前の大ジャンプは影を潜めた。
逆転を狙った2回目も飛距離が伸びない。得点を確認すると中継カメラに気丈に笑顔を見せ、ぺこりとお辞儀した。
結果は4位。祝福されるメダリストを見て「おめでとうという気持ちと、自分もあそこに立ちたかったという悔しい気持ちになった」。
7位だった伊藤有希選手(19)と話をした。「また一緒にこの場所に来ようね」。4年後のリベンジを互いに約束した。
「この舞台に立てたのはすごく良い経験」。インタビューにはしっかりした口調で応じた。「1本目も2本目も納得いくジャンプができなかった」。もう泣くまいと決めたかのような、でも、もう少しで泣いてしまいそうな表情。「また五輪に戻ってこられるよう、もっともっとレベルアップしていきたい」。力不足をかみしめ、強くなると決意した。
観客席で応援した祖母の島津照子さんは「お疲れさまと言ってあげたい」とねぎらった。ジャンプ男子の葛西紀明選手(41)は「本人が一番悔しいはず。また世界のトップを目指してほしい」とエールを送った。