マヅラの劉社長（左）と長男光雄さん

　徒然（つれづれ）なるままに、居心地の良い喫茶店を探訪するゆる～い連載もはや５回目。大阪・キタのど真ん中・大阪駅前第１ビルにフラリとやって来た。今回訪れる「マヅラ」は、関西のレトロ店マニアの間ではかなり有名なお店。しかしこんな所に純喫茶が？と半信半疑で歩いていると突然、眼前に異世界が広がった。何じゃここは！
　インパクト抜群の緑色の看板、高い天井にスペイシーなレイアウト、そしてゴージャス感あふれる調度品は、まさに７０年代のキャバレーそのもの！　さらに驚いたのはその広さだ。ほど良い暗さの店内には、年齢・性別を問わず１００人近くのお客さんが、思い思いにくつろいでいる。スタッフの畑光雄さんは「喫茶コーナーとバーコーナーを合わせて１８０席ぐらいですかね。お店自体は６２年目なんですけど、ここに移ったのは１９７０年なので、ちょうど４０年目になります。内装はほとんど変わっていませんよ」と言う。

　マヅラ店内

　大阪万博に合わせ、第１ビルができたのと同時に移転したということか。なるほど、だからこんなにノスタルジーをかきたてられるんやね。さらに値段も「昔か！」と突っ込みたくなる。コーヒー、紅茶各２５０円、ミックスジュース３３０円で一番高いメニューがパフェの５５０円って！
　一番気になるのは「マヅラ」という店名。畑さんの父・劉盛森オーナーによると「ボクが学生の頃に旅したインドネシアの小島の名前なんよ。すごくキレイな島で、ホテルの女の子もかわいらしくってね。その子に『ボクが将来お店を出したら、絶対にこの島の名前を付けるからね』と約束してね。それが今まで続いているんですわ」。６０年以上前の約束が、今もこうして生きている。これはロマンですよ！　毎週金曜日にはノーチャージで懐かしポップスのライブもやっているし、気軽にタイムトリップしたいなら、マジでお勧めです！
　【中上　博】