2人の「愛(amour)」が育んだ味<喫茶アムール>
アムールのの大山正文店長(右)と奥様
皆さん明けましておめでとうございます。ゆったりくつろげる喫茶店を求め、グダグダと街をさまよう連載の2011年第1弾です。だからと言って気合を入れて取り組むはずもないので、読者の皆さんもゆるりとお付き合いください。
今回訪れたお店は、大阪・福島区の喫茶店「アムール」。我々が勤務する日刊スポーツ本社から徒歩1分の、すごくレトロで雰囲気のあるお店だ。外観もさることながら、入った瞬間その内装に魅了される。壁一面のオブジェにかわいらしい照明。黄ばんだ天井がその歴史を物語っているようだ。オーナーの大山正文さん(74)は笑顔を絶やさずにこう話す。
喫茶アムールの外観
「この店は以前スナックだったんですが、1975年に買い取って全面改装したんですよ。内装はほとんどその時のままですね。当時この辺は人も少なくて暗い街でしたけど、すっかりにぎやかになりましたね」
オシャレなスーツとボタンダウンをビシッと着こなし、靴もピカピカに磨かれた大山さんはとても70過ぎには見えない。本業は建築家で、現在も建築設計事務所の代表を務めている。
「お金のことは別にして、年を取ったからって家でボケーッとしてたらアキません! 外に出ていろんな人と接触せな。人と会えば自然にオシャレしなアカンし、言葉遣いにも気遣うようになりますしね」
…ウチのオッサン連中に聞かせてあげたい言葉ですわ。メニューを見てまたまた驚いた。コーヒー、紅茶が300円でモーニングもトースト付きで同額。サンドイッチが付いても350円って! ふだん1人でお店を切り盛りしている照代夫人は笑う。
「昔から来てくれはるお客さんもいてるし、簡単に値上げするわけいかないでしょ?」
天井と同じ色に黄ばんだメニューが、長年同じ値段でやってきていることの証明になっている。ミックスジュース(450円)はフレッシュで、ほんのり甘く優しい味。レシピは開店当時から変わっていないと言うのもうなずける。
「味も人も古いけど、お客さんが来てくれる間は続けなあきませんからね」
かつて雑誌の表紙も飾ったことがあるという照代さんの笑顔は今も魅力的だ。出会いから43年、息もピッタリの2人が育ててきた「アムール」。ぜひ一度、訪れてください! あ、日刊スポーツもすぐ近くなんで、差し入れとかも大歓迎ですよ。
【中上 博】
◆喫茶アムール
◆所在地 福島区福島3の9の8(JR新福島駅から徒歩3分)
◆営業時間 午前7時30分~午後5時。不定休。
◆電話 06・6458・0127
◆その他 カレーライス500円。焼きそば、しょうが焼きなど定食各種600円も人気。プラス150円でドリンクが付く。
読者オススメの純喫茶を募集します。店にミックスジュースと日刊スポーツがあることが条件で、国内に限ります。採用された読者にはサンガリア「みっくちゅじゅーちゅ」1箱(30本)を進呈。さらにその純喫茶が五ツ星評価を得た場合、店にも1箱贈ります。
◇はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号、年齢と、オススメの純喫茶を明記の上、〒530・8334(住所は不要)日刊スポーツ「純喫茶係」と書いてご応募下さい。