勝新も味わった歴史的コーヒー<(株)ニッカ珈琲店本店>
オーナーの赤松滋子さん
心身ともにダラーッとできる喫茶店を求め、エエ年したオッサンがひたすら街をさまよう奇跡的にゆるい連載ですが、おかげ様で今年も継続です。皆様のおしかりがない限り続けるつもりですので、よろしくお願いいたします!(だからしからないでね)
今回は独自の雰囲気を持つ兵庫県・尼崎市に初めてお邪魔した。訪ねたお店は尼崎昭和南通りにある「ニッカ珈琲店」。外観は大きな窓とレトロな看板が印象的だ。そして店内に入るとオーナーの赤松滋子さん(77)が明るい笑顔で迎えてくれた。広々としたスペースに年季の入ったソファとテーブルが置かれ、文句なしに落ち着ける雰囲気が漂っている。
(株)ニッカ珈琲店本店の外観
「ただ古いだけの店ですよ。何せ昭和10年創業やからね。私は2代目の嫁に来てからもう52年になりますわ。あのころははもっと細うてきれいやったんよ」
そう言って笑う赤松さん。いえいえ、今でも十分魅力的ですわ。とても77歳には見えません! さっそくホットコーヒーとミックスジュース(いずれも350円。安い!)を頂いた。自家焙煎のコーヒーは芳醇(ほうじゅん)な香りで、付いてきたミルクがまたおいしい!
「主人が20年前に亡くなったんで、私がコーヒー作らな仕方ないんですよ。それからミルクも高い牛乳と生クリームを独自でミックスしているしね。ミルクをたっぷりと、砂糖もちょっと入れて飲むのが一番おいしいんですよ」
…ホンマですわ。コーヒーについてきたミルクに、これだけ感動したのは初めてだ。あえて値下げしたというミックスジュースも甘くて濃厚で懐かしい味。これで350円は(大きなお世話だが)安すぎでしょ!
「昭和30年代の半ばから終わりぐらいには、ミックスジュースだけで1日300杯ぐらい出ていたんやけどね。あのころは前の通りにキャバレーがズラっと並んでいて、ステージを終えた勝新太郎さんや中尾ミエさん、松尾和子さんとかもコーヒーを飲みに来てくれてたんよ」。
それはスゴイ! まさに歴史の生き証人と言っても過言ではないでしょう。尼崎という独特の雰囲気を持つ街で、70年以上の歴史を刻んできた喫茶店。この先も100年目指して…いや、もっともっと尼っ子たちを癒やし続けてほしいものです。
【中上 博】
◆(株)ニッカ珈琲店本店
◆所在地 兵庫県尼崎市昭和南通4の58(阪神尼崎駅から徒歩5分)
◆営業時間 午前10時~午後10時。日曜定休。
◆電話 06・6411・4501
◆その他 コーヒーはアイス、ホットともに350円。
※本コーナーの星の数は「純喫茶度」を表すもので、決してお店をランク付けしたものではありません。
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