十三のじゅーすは優しい味<喫茶なにわ>
オーナーの浅倉小夜子さん
西日本有数の〝脱力系〟連載と自負する本コーナーが、ついに十三上陸! …などと力んで紹介されても、何が? って感じでしょうな。でもここは阪急電車のハブ空港(空港?)であり、記者にとっても思い出深い土地なのだ。よって、ちょっと思い入れがきつくなってしまう点は理解してくださいませ。
それにしても十三は不思議な土地だ。大阪~兵庫~京都へとつながる駅であり、数多くの人々が行き交う街でありながら、どこか乱雑で(良い意味で)あか抜けない。昔ながらの柄の悪さ(もちろん良い意味で)が残っている。歩いているだけでテンションが上がってくるのは記者だけだろうか。
喫茶なにわの装飾
そんな十三駅西口を出ると、まさに真ん前のビルの2階に今回の取材店「喫茶なにわ」がある。階段を上って行く途中にはアーティスティックな壁画が飾られ、異世界の入り口のようでワクワクしてくる。店内に入ると意外に広い。味のあるテーブルとイスが並び、間には観葉植物が等間隔で配置されている。うん。これはいかにも居心地が良さそうだ。オーナーの浅倉小夜子さんは1978年の開業以来、30年以上もこの店と十三を見守ってきた。
「やはりいろんな場所から来られるので、待ち合わせに使われるお客さんが多いですね。3~4時間も座ってはる人もいましたねえ。だから私は喫茶店というよりも、雑談室という感覚でやっているんですよ」
そう言って上品に笑う浅倉さんは、若いころは(今でも十分お美しいけど)さぞかしモテたやろうな…とか考えてしまう。14年前にご主人を亡くした後は、息子さん(現在同じビルの1階でうどん屋を営む)が大きくなるまでの間、1人で店を切り盛りしてきた。
「主人は短気な人でしてねえ。お客さんがちょっと私の肩をたたいただけで、スゴイ勢いで突っかかってましたわ。今ではエエ思い出ですけどねえ」
うわあゴメンなさい! いらんこと書いてたら怒られますね。それにしても、ご主人のお話をされる時の浅倉さんの表情は、何とも言えない慈愛に満ちあふれている。実際にいただいたミックスジュース(450円)も、ホットコーヒー(350円)も本当に優しい味だった。窓から見える阪急電車の車両を眺めながら、いつまでもボーっと座っていたい昼下がりでした。
【中上 博】
◆喫茶なにわ
◆所在地 大阪府大阪市淀川区十三本町1の1の15(阪急十三駅から徒歩すぐ)
◆営業時間 午前8時~午後7時30分
◆電話 06・6886・7645
◆その他 コーヒーはホット350円、アイス380円。ピラフ、カレー、スパゲティなどの軽食類は550円
※本コーナーの星の数は「純喫茶度」を表すもので、決してお店をランク付けしたものではありません。
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