<第89回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)
「強い日体大が帰ってきました!」。箱根湖畔に、表彰式を告げるアナウンサーの絶叫が響く。誇らしげな優勝戦士をながめながら別府健至監督(46)は「それぞれがきっちり走ってくれた。でも優勝は私もビックリです」と感慨深げに話した。
信念は本番でも貫いた。この日の朝、3区岩間、4区福士の4年生を1年の山中、2年の木村にエントリー変更した。下級生の服部を主将に任命して、4年の底上げと奮起に期待。昨年10月の予選会トップ通過、11月の全日本4位と好循環したかに思えたが、指揮官は満足しなかった。勝負に徹し、最後の最後まで実力主義を徹底。心を鬼にした区間配置で選手の走りにブレはなかった。
昨年4月に兵庫・西脇工高の渡辺公二前監督を特別強化委員長として招聘(しょうへい)。高校駅伝8度制覇の名将は「試合は超生意気でもいいが普段は謙虚に」をモットーに私生活からたたき直した。5時半起床の徹底、毎日10分間のゴミ拾い、入念なグラウンド整備、全面禁酒。それにより「腐った4、5人が退部した」(関係者)が、甘えを断絶し統制の取れたチームに芯が入った。4年生3人がエントリーされている復路で、完全復活を果たす。【渡辺佳彦】