全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は16年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。昨年の覇者トヨタ自動車、東日本大会を制したホンダ、同2位の日清食品グループ、実力のある選手が多い旭化成、コニカミノルタの5チームが優勝争いの中心となりそうだ。

【1区(12・3キロ)】旭化成は11月に1万メートルの日本記録を樹立した村山紘太(22)成長著しい茂木圭次郞(20)のいずれかが走りそう。どちらが来ても区間賞候補だ。旭化成は外国人選手がいないので、2区のインターナショナル区間の苦戦を計算しないといけない。スローペースで混戦となるよりもハイペースのレースに持ち込み、後続に差をつけてトップでタスキを渡したい。その旭化成に対抗できるのは昨年優勝のトヨタ自動車か。中部予選では早川翼(25)が、スタートからハイペースで飛ばして区間2位に大差をつけた。東日本予選1区区間賞のDeNA高橋優太(28)同区2位の日清食品グループ若松儀裕(29)中国地区予選1区区間賞のマツダ大須田優二(24)らも区間賞候補。

【2区(8・3キロ)】外国人選手を起用できる唯一の区間。DeNAのビダン・カロキ(25)九電工のポール・タヌイ(25)が1万メートルで26分台を持つ2強。前回、カロキと区間賞を分け合ったバルソトン・レオナルド(26)を擁する日清食品グループ、前回大会区間3位のポール・クイラ(25)のいるコニカミノルタもこの区間で上位に進出してくるだろう。旭化成は前回まではチーム内5~7番手で「自分のペースで走る」タイプの選手に託してきた区間だが、今回は村山紘か鎧坂哲哉(25)を起用して区間賞から20~30秒差にとどめたい作戦だ。

【3区(13・6キロ)】旭化成の鎧坂が2年連続区間賞を取っている区間。前回は区間2位に12秒差だった。鎧坂は今季5000メートルと1万メートルで日本歴代2位をマークするなど絶好調。この区間で起用されれば区間2位のタイムに20秒程度差をつけられそうだ。鎧坂ではなく1万メートル日本記録保持者の村山紘の起用も考えられるが、いずれにしても旭化成がトップ争いに加わる区間となりそうだ。

【4区(22・0キロ)】旭化成は村山謙太(22)もしくは大六野秀畝(23)の起用が濃厚。2人とも新人で、実業団駅伝の最長区間で区間賞争いができるかどうかは未知数だが、この区間を上位でしのげば優勝に大きく近づく。日清食品グループは主将の佐藤悠基(29)ホンダは2年目の設楽悠太(24)と、過去にこの区間で区間賞を取っている選手でトップに立つ戦略。そのためには両チームとも3区終了時にトップから30秒以内につけている必要がある。

【5区(15・8キロ)】5区の注目はトヨタ自動車と旭化成だ。トヨタ自動車は宮脇、大石、早川、窪田の4本柱のいずれかが担うことになるがが、主将の大石港与(27)が走れば前回区間賞と経験もあり、今季の充実が走りに現れるだろう。4区終了時点で先頭から20秒程度の差ならば、この区間でトップに立つことができる。旭化成は村山謙か大六野が起用される可能性が高いが、前回、高卒1年目でこの区間を走った茂木もこの1年で大きく成長しており抜擢される可能性がある。

【6区(12・5キロ)】近年は5区で決定的なリードを奪うチームはなく、過去3年は6区で区間賞を取ったコニカミノルタ(2回)とトヨタ自動車が優勝している。その意味でもこの区間の選手起用は重要だ。これまでは選手層の厚さということならその2チームだったが、今季は旭化成も丸山文裕(25)福岡国際マラソン日本人1位の佐々木悟(30)がこの区間を走りそうでコニカ、トヨタ以上に戦力は充実している。強力選手を終盤に残せるという意味では旭化成にも分はある。

【7区(15・5キロ)】2011年にはアンカー決戦となり、トヨタ自動車が1秒差で富士通に競り勝ったこともあった。上州名物の強い向かい風が吹くと5、6区では差がつきにくくなる。そういった意味では東日本予選の7区で逆転優勝したホンダもその再現が期待できる。また矢野圭吾(24)高瀬無量(26)が故障から復帰した日清食品グループもアンカーまで好調の選手を残すことができる。5強すべてにいえることだがエースの仕上がりが良ければ5区までで勝負が決められる。だが混戦になれば、チーム5~7番手選手のコンディションが勝負のカギになりそうだ。